今週の一枚 UNISON SQUARE GARDEN『MODE MOOD MODE』

今週の一枚 UNISON SQUARE GARDEN『MODE MOOD MODE』 - 『MODE MOOD MODE』『MODE MOOD MODE』
驚愕必至のエクストリームなポップを鳴らしながら、どこまでも鮮やかにロックンロールの真芯を撃ち抜くアルバムである。そして、そんな刺激的な音楽世界をスムーズで痛快な喉越しとともに流し込んでくる作品でもある。
そんなすべてのベクトルを備えた、間違いなくUNISON SQUARE GARDEN史上の最高傑作でありながら、誰もが抱く「ユニゾンらしさ」をあっさり凌駕しその遥か頭上をかっ飛んでいく。前作『Dr.Izzy』から約1年半ぶりとなる7thアルバム『MODE MOOD MODE』はそんな1枚だ。

と言いつつ、アルバムリリース発表に際して田淵智也(B)も「曲順や曲タイトルの公式解禁はCD発売1週間後、配信リリース日である1月31日までしないので、早く知りたい人はリリース週のCD屋で各自目撃してください」とコメントを寄せていた通り、現時点で今作の収録曲は、ティザー映像で紹介された既発シングルの4曲=“10% roll, 10% romance”、“fake town baby”、“Silent Libre Mirage”、“Invisible Sensation”と、先日ミュージックビデオが公開された“君の瞳に恋してない”以外は公式には明らかにされていない。
だが、その5枚のカードがオープンになった時点で、このアルバムが完全ロイヤルストレートフラッシュ状態の極限進化作であることは、誰が聴いても明らかだろう。


「誰のもとにも届くポップミュージックであること」と同時に、ユニゾンはいつだって「王道に媚びないオルタナティブなロックミュージックであること」を追い求めてきた。
ともすれば身も心も引き裂いてしまいそうなそのふたつのベクトルの間でしかし、斎藤宏介(Vo・G)/田淵智也/鈴木貴雄(Dr)の3人は、個々の表現力とプレイアビリティを極限まで高め、それを「個人技の集合体」ではなく「鉄壁のバンドアンサンブル」へと昇華するべく切磋琢磨を続けてきた。他のどこにもないオルタナティブな音のパーツでもって、独自のポップ最強型の躯体を組み上げるべく、熾烈な研究開発と自己鍛錬の日々を送ってきたであろうことは想像に難くない。

ひとりひとりの演奏は複雑怪奇なフォルムをしているのに、3人の歌と音が合わさると、そこには微塵のズレも隙間もなく、クリアな音の流線形が生まれる――そんなバンドの現在地は、ただ単に「ポップな音楽を作りたい」だけでは到底実現できるものではない。
ユニゾンはどこへ向かうのか/向かいたいのか――そんなバンド解体新書&再定義の季節を『Dr.Izzy』で迎えた3人は、いよいよ「その先」へと踏み出したのである。

『MODE MOOD MODE』の中では、もはや「ポップであること」と「オルタナティブであること」は1mmも矛盾していない。誰とも異なるやり方で王道を闊歩し得る唯一無二のバンド黄金律を、ユニゾンはついに獲得した――そんな実感を今作は確かに与えてくれるはずだ。ぜひCDショップの店頭で、アルバムの全貌を確かめてみてほしい。(高橋智樹)
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