今週の一枚 WANIMA『Gotta Go!!』

今週の一枚 WANIMA『Gotta Go!!』

3月の初ワンマン@さいたまスーパーアリーナでリリース決定が報じられていたニューEP『Gotta Go!!』(ヨミ:ガラゴー)。すでに配信リリースされている先行曲“CHARM”、タウンワークのCMで松本人志と共演した“ララバイ”、そして“これだけは”という3曲を収録。ワーナー・unBORDEとタッグを組むという新体制でリリースされることも話題となったが、信頼のWANIMA印を堅持した上で触れる者をびっくりさせるという、恐るべきクオリティの作品だ。

(WANIMA「CHARM」 MUSIC VIDEO(Short ver))

まずは“CHARM”。軽快でほっこりとしたカントリー風の立ち上がりから熱いパンクサウンドに持ち込む序盤だけでも、WANIMAの懐の深さが窺える。KENTAはたまアリでも「新生活のお守りに」と告げてこの曲を歌っていた。WANIMAは何度でも「はじまり」の歌を歌おうとしてきたが、この曲は《フレーフレー 探し続けて/行き先なんか知らない まだ見ぬはじまりを…》という歌詞のとおり、スタートラインよりもさらに手前に立つ人のために歌われる歌だ。こういう繊細な、愛情の深い気配りにもハッとさせられる。

なぜWANIMAは、何度も「はじまり」のことを歌おうとするのだろう。それはいつでも、「はじまり」のことを歌ってほしい人の顔が明確に見えているからだ。「自分が歌いたい曲=誰かが歌ってほしい曲」なのだ。この両辺がイコールで結ばれるアーティストは、そう多くはない。新たなリリース体制に向かいながら、WANIMAがこの曲を生み出していたことを思うと尚更胸が熱くなる。《新しい歌が遠くにいるあなたに届くように/懐かしい歌がいつかまたあなたと歌える世に》という、WANIMAの存在意義をたった2行で説明してしまうところも素晴らしいし、楽曲の終盤にはとっておきの大合唱パートが用意されている。すごい曲だ。

(タウンワーク 松本人志出演新CM スタジオ篇30秒)

さて、今回のEPで全貌を現す“ララバイ”だが、これは想像以上にホットなライブアンセムだ。こんがらがって重くなる頭の中を、音の力で解放するようなナンバーになっている。恐るべき情報量の展開をサラッと聴かせてしまうWANIMA流ハイブリッドパンクのこなれ具合、そしてどこで息継ぎしているんだというボーカルパートに至るまで、バンドの進化が至るところに見受けられる。さらに“これだけは”は、胸元ど真ん中に放り込まれる熱いメッセージと、舞い上がるようにダンサブルなサウンドが手を取り合う、これだけでも看板チューンになり得る名曲である。

なお、現在発売中の『ROCKIN’ ON JAPAN』2017年6月号インタビューの中では、今回のEPで一旦エロ成分を排した意図についても語られている。興味深い内容なのでぜひチェックして欲しいところだが、もちろんそれによってWANIMA作品としての魅力が損なわれることなどありえない。WANIMAのエロさが抑えられているということは当然、エロさ以外の魅力が大暴れしているということだ。このEPに触れた人なら、一発でそのことを理解できるだろう。(小池宏和)
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