今週の一枚 KEYTALK 『KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance?~』

今週の一枚 KEYTALK 『KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance?~』

KEYTALK
『KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance?~』
2016年3月2日(水)発売



開演前から火柱の特効がんがん噴き上がるわ、小野武正/首藤義勝/寺中友将/八木優樹の4人は舞台にポップアップしてくるわ、レーザー光線飛び交う中で突入した1曲目“YURAMEKI SUMMER”では武正はでっかいステージの袖から袖へと駆け回って歓喜を剥き出しまくっているわ、日本武道館満場の1万人の観客を見つめて力強く歌う巨匠(寺中)の瞳が早くも感激に潤んでいるわ(これは缶ビール一気のせいだけではないはずだ)……観始めてからほんの数分で、誰彼構わず歓喜のクライマックスへ導いてしまう圧巻の高揚感。それはまさに、1秒でも速く熱狂の絶頂へ辿り着きたい!というジェットコースター的な情熱がそのまま形になったKEYTALKの音楽世界とまるっきり地続きのものだ。

昨年10月28日に開催された、KEYTALK初の武道館ワンマン「KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance?~」をBlu-ray/DVD/CD作品化した今作。最新アルバム『HOT!』の収録曲からインディーズ曲まで、KEYTALKのすべてを「今」の爆発力とタフネスで撃ち放ったセットリストも最高ながら、今作を何よりドラマチックなロック冒険活劇にしているのは、4人の感情だだ漏れの表情と、その感情のままに躍動しまくるパフォーマンスそのものだ。

“バイバイアイミスユー”でスマホライトの光がキャンドルよろしく客席一面に揺れた1万人サプライズの瞬間の、驚きと感激に震える4人の表情。大歓声が巻き起こる中、“太陽系リフレイン”で巨匠が空中にリフトアップされた時の、満面のドヤ顔。武道館の広いステージの中央部分に、彼らが2011年秋に初ワンマンを行った下北沢SHELTERと同デザイン・同サイズの床面(白黒モザイク模様の部分)を再現した舞台設定……といったディテールのひとつひとつまでもが激エモな一夜を、今作ではその隅々に至るまで堪能することができる。

「武正、最高のリーダーです! 巨匠、いつもその歌唱力に憧れて、僕もヴォーカル頑張れてます!」。本編終盤、赤裸々な言葉でメンバーに感謝の言葉を伝える義勝。舞台も会場も思わず感涙モードに包まれたところで、「というわけで――」とわざと八木を一回スルーして湧き起こった笑いを、「義勝もね、パーキングエリアに置いてっちゃったこともあるけど、いつもありがとうな!」(武正) 「お前、それ絶対許さないからな!」(義勝)のやりとりで爆笑へと導いてみせる……そんな場面を観ているうちに、いつしか僕らは気づくはずだ。そんな4人の凸凹爆進ストーリーを、「舞台上のアーティストのパフォーマンス」の枠を超えて「紛れもなく今、自分が生きている時代の出来事」として、この上なくリアルに、身近に感じていることに。そう、この「武道館初ワンマン」という晴れ舞台は同時に、「KEYTALKの物語」が「僕らの物語」になった決定的瞬間でもあったのだ――ということがよくわかる、珠玉のライヴ映像作品だ。(高橋智樹)
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