今週の一枚 UNISON SQUARE GARDEN『fake town baby』

今週の一枚 UNISON SQUARE GARDEN『fake town baby』
ロックバンドが「リスナーに/ファンに対して誠実である」とはどういうことか?――というのはどのバンドを観たり聴いたりしても多かれ少なかれ考えるが、UNISON SQUARE GARDENの音楽に触れていると、そのテーマがよりいっそう切実に脳裏に迫ってくるのを感じるのは、決して僕だけではないと思う。


『ボールルームへようこそ』のオープニングテーマ(“Invisible Sensation”)、さらに『血界戦線 & BEYOND』のオープニングテーマ(“fake town baby”)、とTVアニメのタイアップ曲を2週連続シングルとしてリリースするUNISON SQUARE GARDEN。
その「2週目」のシングルとなる今作『fake town baby』。表題曲“fake town baby”の《甘いか苦いかは君が決めろよ》というラインからは、かつて『血界戦線』のエンディングテーマとして提供された“シュガーソングとビターステップ”の《甘くて苦くて目が回りそうです》というフレーズとのリンクが窺えるし、いきなり英語詞でスタートするアニメのOP曲らしからぬ導入部分も、ロックンロールとボサノバ〜ジャズが急速スイッチされるようなスリリングな楽曲展開も、それら全部を極彩色のポップの彼方へぶん投げてみせる圧倒的なクリエイティビティも、すべてが「ユニゾンにしかできない音楽」としての存在感を鮮烈に放つものだ。

しかし、今作は「ユニゾンにしかできないアクロバチックな要素を山盛りにしているからすごい」シングルではない。
前述の《甘いか苦いかは君が決めろよ》の直前には、以下のフレーズが歌われている。《神様はいない 要らない いても 要らない ここは誰の現在地だ?》――「煽動する」、「煙に巻く」という2枚のカードを巧みに使いながら聴き手を痛快に裏切ることで、その高揚感に特定のベクトルを与えないようにその世界観をデザインしてきたユニゾンが、いや田淵智也が、その作家性をエモーショナルな方向に解き放つことで、怒濤のバイタリティとシリアスな加速度を実現してみせた――そんな楽曲に仕上がっている。

これをもってすぐに「ユニゾンは変わった」と表現するのは早計かもしれない。が、彼らがよりシビアかつ正確にロックを対象化しコントロールする術を体得していることは間違いない。
《どこまでが本当で どこからが嘘なのか 確かめるのもバカらしいよな/愛してる この街を 愛してる それでも》、《生命 session 全部巻き込んで楽しむのが この街のルール》……弾けんばかりの蒼き少年性を、その鮮度と儚さを保ったまま描き切るロックバンドとしての筆致とポテンシャル、そして常に聴き手の目の前を豪快にかっ飛ばしながら僕らを前へ先へと導くポップファイターとしての誠実さを、今作はまざまざと物語っている。

配信シングル『Silent Libre Mirage』、そして『10% roll,10% romance』、『Invisible Sensation』、『fake town baby』――昨年のアルバム『Dr.Izzy』以降、すでにシングル4作品を発表しているUNISON SQUARE GARDEN。これらの「氷山の一角」が今後、どんなアルバムに結実するのか。今から楽しみで仕方がない。(高橋智樹)

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