今週の一枚 ONE OK ROCK

今週の一枚 ONE OK ROCK

ONE OK ROCK
『Mighty Long Fall / Decision』



いわゆる「日本の音楽シーン」にいる他のバンドとはまったく違う地図を見ながら歩いている/歩き始めたということが一発で伝わるシングル。
いわゆる洋楽志向とかそういうことではなく、持っている地図が国内地図ではなく世界地図なのだ。
その地図で歩くためには当たり前のようにそれにふさわしい知識や筋肉や装備が必要になる。
今のONE OK ROCKは「志向」や「趣味性」ではなく「必要性」においてどんどん新たなアンサンブルやサウンド、メロディーを開拓して装着している段階なのだと思う。

ジョン・フェルドマンとともにアメリカでレコーディングした“Mighty Long Fall”にそれは顕著で、
プログラミングと生楽器の立体感のある混ぜ方や、ヴォーカルがただ前に出るのではなく翼を広げたようなスケール感で全体を包むような音像は、いわゆる「J-ROCK」の音像とはまったく違う。
映画『るろうに剣心 京都大火編』の主題歌ということでかなりポップな曲にはなっているが、サウンドは日本の映画館を超えて海の向こうへと鳴っている。

もう1曲の“Decision”は、曲自体はワンオク節のエモど真ん中だが、ストリングスの隠し味や独特のコーラスの処理によって一回転してインターナショナルで突き抜けたモダン・ロックに仕上がっている。


日本の音楽シーンがどうのこうの、日本の音楽業界がどうのこうのと言っていても始まらない、窮屈なら外にも広がっていけばいいじゃん、新しい地図を持って歩けばいいじゃん、
という姿勢をこのシングルは「音」で伝えている気がする。

コアな部分を薄めたりすり減らしたりすることなくアーティストが進んでいくために、
これからは彼らのような「新しい地図を持って歩く」姿勢が重要なキーになっていくと思う。
ONE OK ROCKはそういう意味でも「新世代の代表選手」であるだけでなく、「新時代の先導者」としてもこれから輝かしい新たな一歩を見せてくれる気がする。

※ちょっと大人目線のレヴューでごめんなさい。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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