今週の一枚 KEYTALK 『HELLO WONDERLAND』

今週の一枚 KEYTALK 『HELLO WONDERLAND』

KEYTALK
『HELLO WONDERLAND』
2016年4月13日(水)発売



武道館ライヴ映像作品に続く、3ヶ月連続リリースの第2弾にして、『スターリングスター』以来となるKEYTALKのニューシングル『HELLO WONDERLAND』。表題曲はすでに今春の幾つかのステージでも披露されているが、メンバー4人がそれぞれ作詞・作曲を手掛けた楽曲が1曲ずつ収められている。これは、KEYTALKにとっての「線引き」のシングルである。ロックと一体化して武道館後の新たな視界を目指すような、首藤義勝による表題曲“HELLO WONDERLAND”は、まさにバンドのキャリアにおける勇ましい「線引き」を示している。転調を経てなおドライヴ感を損なわず、スピードに乗っているのに重量感を受け止めさせるナンバーになった。

2曲目“KARAKURI夢ドキュメント”は小野武正が手掛けており、「夢」を主題に軽快なリードギターが踊りまくる曲調だが、彼の笑顔の向こうに潜む冷静な批評眼と思考が詰め込まれた歌詞にゾクゾクとさせられる。ある意味バンドリーダーらしい、残酷と言ってもいいぐらいクールな視点が持ち込まれている点が新鮮だ。八木優樹による“Combat Song”は、実は今回の4曲の中で「ここでこう展開するの!?」というKEYTALKのアクロバティックな一面が最も色濃く出た楽曲になっていておもしろい。バンドのエンジンとして、ひたむきに前進する意志が立ち込めた歌詞もナイスだ。

こんなふうに、もろに個性が反映された楽曲が並ぶということは、バンドの作品としてとっ散らかった内容になってしまうリスクとも紙一重だ。しかし、現在発売中の『ROCKIN’ ON JAPAN』5月号インタヴュー記事でも語られているように、トラックの一発録りを基本としたKEYTALKの4人の音楽的コミュニケーション能力の高さは、すべての楽曲をKEYTALK色に染め上げてしまう。4人それぞれの4曲ではなく、KEYTALKの4曲に着地すること。この4人でしかKEYTALKにならないこと。それが、『HELLO WONDERLAND』という作品がもたらす、もうひとつの太く濃い「線引き」なのである。

というわけで、4曲を締めくくるのは寺中友将による作詞・作曲の“One side grilled meat”。爆走のメタル/ハードコアに、エフェクトを噛ませたヴォーカルで《今日も終わりを告げる 立ち込める煙の中に さぁ今こそ踏み出そう 呆れるほどにお前という壁をぶち壊して》と歌われる焼肉アンセムである。完全燃焼、じゃない、男の片面焼きでおいしいところを掻っ攫う、ずるいぞ巨匠、と言いたくなるようなフィナーレだ。今後のライヴで披露されることを楽しみにしたい4曲である。(小池宏和)
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