鮮烈なリズムトラックが醸し出すクール&ハイパーな質感と、都市の喧騒の中で輝きに手を伸ばそうとする想いや葛藤が交錯するイントロダクション。
パワフルに空気を震わせるビートとは対照的に極限までシンプルに研ぎ澄まされたアンサンブルの中で、3人の歌声がまっすぐ「今」と「未来」を指し示しながら描き出す、この時代丸ごと躍動させるようなワクワク感――。
『STAR TRAIN』以来約1年3ヶ月ぶり、アルバム『COSMIC EXPLORER』後では初のシングルリリースとなる『TOKYO GIRL』。
ドラマ『東京タラレバ娘』主題歌としてもオンエア中の表題曲“TOKYO GIRL”で何より際立っているのはほかでもない、かしゆか/のっち/あ〜ちゃんの3人の声と感情にフォーカスを合わせたサウンドメイキングだ。
ウォール・オブ・シンセとでも言うべき音圧のサウンドスケープと乱反射し合いながら極彩色の光を放っていくかつての方法論の中では、Perfumeの歌はむしろ、3人それぞれの感情の揺らぎをどこまで排してハイブリッドなポップ感を高められるか、という点に照準が定められていたように思う。
だが、サビでやはりバキバキのダンストラックへと突入していく今回の“TOKYO GIRL”から浮かび上がってくるのは、紛れもなく3人のパーソナリティと情熱こそがPerfumeの原動力であるという、あまりに本質的な確信そのものだ。
怒濤のポップの真っ只中にいるから輝いているのではない、Perfume自身がまばゆいポップの光を放っているのだ――ということを、“TOKYO GIRL”は改めて真っ向から証明してみせている。
結成から15年間の歩みを丹念に歌い上げた“STAR TRAIN”を経た後だからこそPerfumeの3人は、自分自身が輝きながら「今」という舞台を闊歩することの大切さと素晴らしさを、確かなリアリティをもって《踊れ Boom Boom TOKYO GIRL》というフレーズに託すことができるのだろう。Perfumeの最進化形と呼ぶに相応しい1枚だ。(高橋智樹)