今週の一枚 miwa『シャイニー』

今週の一枚 miwa『シャイニー』

目下、アリーナツアーの真っ只中であるmiwaのニューシングル。表題曲“シャイニー”は爽健美茶のCM曲に起用されている。カラフルに鳴り響くシンセサウンドと、オーガニックでほっこりとしたギター、軽やかに弾けるラテンパーカッションなどに彩られたポップチューンだ。キーワードとなるのは《優しい風》。ツアーで各地を巡っている今のmiwaにもぴったりなナンバーである。

“シャイニー”の歌詞は、ツアーを通して彼女が届ける音楽を風に見立てるような、そういうイメージを抱かせてくれる。《あなたがもし泣いてるなら/私がふっと空気になって 悲しみ吹き飛ばすよ》。さまざまな出会いを経て生み出された『SPLASH☆WORLD』というアルバムの世界観に、もうひとつ「音楽を奏で、歌う意味」を付け加えるという印象なのだ。

もはやアリーナツアーも当たり前になっているmiwaの音楽は、ときに触れるものを圧倒するような力強さと大きなスケール感を備えている。しかし、miwaは誰もが気負うことなく、カジュアルに胸の内にしまい、持ち運ぶことができるポップミュージックの重要性も知っている。その点で、完璧な風通しの良さを目指して生み出されたシングル曲“シャイニー”は、miwaが奏で、歌う音楽の役割を明確にする働きをもっているのだ。

一方、破天荒でヤバいくらいに楽しいロックなmiwaの表情を伝えてくれるのが、カップリング曲の“絶対あの場所に”だ。イントロの勢い良く転がり出すフレーズでいきなり気持ちが高揚する、痛快なナンバーである。こちらはベネッセコーポレーション「進研ゼミ高校講座」のCM曲に使用されてきたが、フルサイズで聴いたらこんなにも凄い曲だったのかとびっくりした。

ロック性を剥き出しに独創性溢れるソングライティングを披露してみせるときのmiwaと、強いグルーヴに後押しされて逃れがたい高揚感を叩き出すmiwa。これらはそれぞれに彼女の作品のアッパーサイドを担ってきたのだけれど、“絶対あの場所に”では歌詞に込められた決意と共に、ふたつのスタイルが融合している。カリビアンなんだかオリエンタルなんだか、無国籍でゴッタ煮のグルーヴがもたらすアタック感が最高だ。

さらに、TV番組の企画で生まれたスタジオセッション音源“結 -ゆい- (Sound Inn “S” ver.)”は、冨田恵一(冨田ラボ)とのコラボレーション。ピアノとストリングスの演奏を中心にしたアレンジはオリジナルバージョンと同様だけれど、関わる人が変われば音楽はこんなにも変わるのだ、というお手本のような素晴らしい作品になっている。「ポップ」の広がりをさまざまな角度から確かめることができるシングルだ。(小池宏和)

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