【今週の一枚】WANIMAの新作『COMINATCHA!!』に込められたこれまでの道のりとこれからの未来を「生きる」覚悟とは?

【今週の一枚】WANIMAの新作『COMINATCHA!!』に込められたこれまでの道のりとこれからの未来を「生きる」覚悟とは? - 『COMINATCHA!!』『COMINATCHA!!』
WANIMAのメジャー2ndフルアルバム『COMINATCHA!!』(読み:カミナッチャ)を聴き、生々しい言葉と豊潤なる演奏のマッチングに二重の意味で驚かされた。彼らが今作に辿り着くまでにどう生きて、これからどう生きていくのか。過去の点と点をきっちりと太い線で結び、自分たちの未来像さえも炙り出す、そんなWANIMAの生き様が今作には刻み付けられている。既に出会えた人はもちろんのこと、まだ出会えていないリスナーの心をノックし続けるんだ!という意志に漲っている。

35万枚超えのセールスを記録した前作メジャー1stフルアルバム『Everybody!!』(エビバデと読む)を経てもなお、《この歌は君がこんな僕にくれた》(“夏のどこかへ”)、《どこの誰かじゃなく君に届け!!》(“ここに”)と歌詞にある通り、聴き手と1対1で向き合う基本姿勢は変わらない。顔の見えない不特定多数ではなく、同じ時代に生きて息をする君に届けることが、WANIMAにとって何よりも重要なのだ。


誰しもが忘れたい辛さや悲しみを抱えている。そこに寄り添い、時に励まし、時に優しい声をかけ、自分たちの歌が君にとってかけがえのない音楽になってくれたらいい。そんな、ピュアでまっすぐで誠実な思いが今作にはぎっしりと詰まっている。上から目線でもなく、説教臭くもない、あくまでも同じ目線で語りかけてくる。それはWANIMA自身がバンドをやる上で、いや、楽器を持つ前の少年期も含めて、こんな歌があったら自分は救われたのになあ、という素朴な発想から生まれたものに違いない。

鼻歌のように口ずさみやすいシンガロング・パートは以前からあるものの、今作は楽曲のテンポ感も過去最高にバリエーションに富んでおり、聴き手の様々なシチュエーションに合った曲調が揃っている。気分をグッと上げたいときはパンキッシュなビートを用いた冒頭曲“JOY”、ちょっと休んで気分を落ち着けたいときは“BOUNCE”を聴くのもいいだろう。また、ハンドクラップやストリングスを効果的に用いた“宝物”はとりわけ素晴しく、《不確かで確かな宝物/笑われて強くなる命の鼓動》、《今でも消えない/あの日の敗北が ここにいる 全て》という歌詞には過去と現在を繫ぎ合わせ、先行きの見えない未来だろうと、光り輝く宝物を見つけに行こう!というポジティブなメッセージが貫かれている。この曲に限らず、今作にはタフでストロングな生命力に満ち溢れた歌が鳴り響いている。さらに多くの人たちを巻き込んでいける楽曲たちを引っ提げ、今作のツアーで観客とどんな化学反応を起こすのか、今からそれが楽しみでならない。(荒金良介)

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