【今週の一枚】WANIMA、新作『Summer Trap!!』はWANIMA純度100%なのになぜ進化と深化を感じさせるのか?

【今週の一枚】WANIMA、新作『Summer Trap!!』はWANIMA純度100%なのになぜ進化と深化を感じさせるのか? - 『Summer Trap!!』『Summer Trap!!』
音楽に救われた者しか作ることのできない音楽。それはたしかに存在する。そして令和のロックシーンを牽引するWANIMAの楽曲は、間違いなくそういう種類のものだ。だからこそ、彼らの5thシングル『Summer Trap!!』にはとんでもない前進ぶりが刻まれている。


より強く、より大きく、より深く、ドッパーンと心に飛び込んでくる、WANIMAにしかできない音楽。三ツ矢サイダーのCMソングに起用された“夏のどこかへ”は、過去最高にキャッチーで、世代を問わず歌いたくなるような素晴らしい曲に仕上げつつ、《何も癒えなくて/あまりに無力で/聴こえてるかい?/こっちへおいで/ここには居なくて/陰に陽が射して/笑えてるかい?/空の向こうで》という、迷ったり苦しんだりしてる人の最後の支えとなるような想いはそのまま、いやむしろ純度を上げている。

2曲目のいわゆるエロ系ナンバー“サンセットストリップ”はアレンジがものすごい。これまでWANIMAが武器としていたのは、3ピースという最小編成を最大化すること。つまりリズムもメロディもコードも三位一体となることでロックのカタルシスを一点突破する、という方法だったのが、この曲は逆。独立したそれぞれが絡み合い、撫で合うことで各パートのエモさを倍増させる、という手法を用いている。結果、頭を空っぽにして体を動かしたくなるような、ライブ空間の楽しさを体現できているのだ。

劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の主題歌“GONG”は、ドラムカウントからのギターリフ始まりという王道の構成が、彼らにとってはものすごく新鮮。ちょっとニヤついてしまうくらいだが、「小細工なしでいくぜ!」という宣誓でもある。で、『ONE PIECE』が少年漫画を超えて国民的作品となった理由のひとつに、「死」や「孤独」を徹底的に、血反吐を吐くほどエグく描写する点が挙げられる。登場キャラたちは、心の根っこにそれらがあるから、もう二度とそんな思いを味わわないために強くなろうとし、仲間を守りたいと思う。という構造は、WANIMAに重なるところがある。“GONG”で言えば《生まれてきたこと 恨んでいた時も/あったけれど》や、最後の“Mom”で歌われる、KENTA(Vo・B)にとって《母親代わり》だったというおばあちゃんの「死」。でも、それでも人生は不可逆であり、日々を前へ進んでいかなければならない。そういう毎日の積み重ねそのもの、進んだ先で出会った人と、そこで生まれる気持ちの結晶。それがWANIMAの音楽なのだ。だから毎秒進んでいるし、どんどん深く、強く、ときには弱くなりもする。音楽に救われ、今も救われている人間が、その人間性と生き様をそのまま鳴らしているのだから、WANIMAというバンドはこれからもなお必要とされ続けるのだと思う。(秋摩竜太郎)
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