今週の一枚 04 Limited Sazabys 『AIM』

今週の一枚 04 Limited Sazabys 『AIM』

04 Limited Sazabys
『AIM』
2016年6月1日(水)発売

それこそ「メロコア」「メロディックパンク」「エモ」とか「メジャー」「インディーズ」とか、そういった既存の物差しで04 Limited Sazabysを測ろうとすればするほど、不屈の闘争心と溌剌としたバイタリティが渾然一体となって渦巻く彼らの音楽は、そんな枠組みを勢いよく飛び出して希望の果てへとかっ飛んでいく。誰にでもその輝度と訴求力が一発で伝わる歌とサウンドでありながら、その楽曲と演奏が喚起する感情と多幸感は明らかに、これまで僕らが触れてきたロックのアーカイブとは一線を画したものだ――ということを、アルバム『CAVU』でも改めて痛感したし、昨年10月のシングル『TOY』に続く新作音源として2016年6月1日(水)にリリースされるシングル『AIM』からも、彼ら独自のフォーリミイズムは格段に明快に浮かび上がってくる。

《もっともっと聴いてみる?/扉開ける音/高く飛ぶための音色》……パワフルな爆走2ビートとせめぎ合うキラーフレーズ越しに、聴く者の心をまっすぐ撃ち抜いてくる“climb”で、GENは《死にたくなるほど 負けたくないから/喉が震えだして 歌になる》と「今」の想いをそのまま歌に織り込んでいる。自身主催のフェス「YON FES」を地元・名古屋で開催、名古屋のみならず日本中のキッズのあふれ返る希望と期待を背負う存在となったフォーリミが、同世代バンドの活躍ぶりに刺激を受けてさらに魂を燃やし、もっともっと前へ先へと邁進する、という無限のサイクルの構図を、“climb”は如実に物語っている。

ロックバンドが音楽を続けていくということは、その音楽に託されたリスナーの希望と情熱をも引き受けていくことだ。だから、より大きなステージを目指すことは人前に立つ者としての必然であり、活動の停滞はバンド自身だけでなくリスナーの敗北でもある――というアティテュードが、フォーリミの音楽には常に脈打っている。「熱く奮い立つ自分たちの音楽的オリジナリティ」と「ひとりでも多くの希望をその楽曲に重ね合わせることのできるポピュラリティ」を両立させることは、彼らにとって至上命題であると同時に、GENはじめメンバー全員にとって呼吸と同じくらい自然に実現するべき事柄なのだろうと思う。“fog”のカラフルなダイナミズムも、“cubic”のワイルドな突破力も、“Give me”の目映く晴れやかなポップ感も、そのすべてが「その先」への挑戦精神に満ちていて、プレイするたびに思わず嬉しくなる。強烈な誘引力に満ちた快盤だ。(高橋智樹)
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