今週の一枚 レキシ『Vキシ』

今週の一枚 レキシ『Vキシ』

レキシ
『Vキシ』
2016年6月22日(水)発売

『レキシ』から『レキツ』『レキミ』、そして『レシキ』と、毎度アルバムタイトルで遊んできたレキシ。さすがに次のタイトルはもうネタ切れなんじゃないかと思っていたら、今作にしか使えないバッチリなのを当ててきた。そう、『Vキシ』。「5枚目」だから「V」。さすが。前作の『レシキ』は、“年貢 for you feat. 旗本ひろし”とか“お犬様 feat. 尼ンダ”など、主に江戸時代をテーマにした曲が多かったが、今作は飛鳥、平安、室町と、日本の西側に幕府があった時代をピックアップしたとのこと。アーティスト写真で池ちゃんが扮した一休さんも、室町時代である。

アルバムは、軽快なピアノやホーンの音が最高に気持ちいい“牛シャウト!”で始まる。時代を超えた究極のドライブミュージックとも言えそうなこの曲。ここで歌われているのは、藤原京の町なみを走る牛車のことなのだけど、思わず高速道路を車で走りたくなるような爽快なテンポが最高に心地好い。牛車は自動車に、朱雀大路は高速道路に変わっただけで、そこに生きる人間は今も昔もそんなに変わらないよなあ、なんてことを考え始めたなら、それはもうレキシワールドに入り込んだ証拠だ。

そして、“古今 to 新古今”の曲前の、元気出せ!遣唐使(渡 和久)とのトークが何度聴いても面白くて、この計算してるのかしていないのかの絶妙な間も、エンターテインメントとしての完成度の高さを感じさせる。でも、そこで笑っていると《新しいとか古いとか そんなの今大事なこと?》という核心をつくような歌が始まりドキッとさせられたり。レキシの、池田貴史の、音楽に対するスタンスを端的に表しているような歌詞だと思う。歴史的なテーマに寄せながらも、決してナンセンスで終わらないその作詞センスが、今作も随所で光る。

そして、毎回レキシのアルバムで気になるのが、参加ゲストだが、今回も意外なゲストと粋な共演を果たしている。キュウソネコカミは“KMTR645 feat. ネコカミノカマタリ”を、楽曲から池ちゃんと共作し、シンセ音を生かした新しいアプローチのレキシ曲を作り上げた。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文は“やぶさめの馬 feat. ハッピー八兵衛”という疾走感のあるギターロックにボーカルで参加している。アルバムラストを飾る“最後の将軍 feat. 森の石松さん”でフィーチャーされる松たか子のボーカルにしてもそうだが、今回のアルバムでは特に、ゲストの持ち味をできるだけそのまま生かしながら、レキシの楽曲がより自由に展開していくような、音の広がりを感じることができる。また、シャカッチ(ハナレグミ)とのファンク曲、足軽先生(いとうせいこう)のポエトリーリーディング曲など、もはやレキシの準メンバーともいえる2人との楽曲や、昨年リリースされたシングル曲“SHIKIBU feat. 阿波の踊り子”でのチャットモンチーとの共演曲はさすがのグルーヴを感じさせてくれて、バラエティに富んだ最高に楽しい1枚に仕上がった。これを聴かされたら、たまらなくライブに足を運びたくなるよなあ、と思っていたら、7月にちゃんと全国ツアーを用意してくれていました。アルバム曲がライブでどう演奏されるか、今からとても楽しみだ。(杉浦美恵)

“KMTR645 feat. ネコカミノカマタリ” Music Video+メイキング
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