今週の一枚 Suchmos『THE KIDS』

今週の一枚  Suchmos『THE KIDS』

先頃、ジャミロクワイの来日公演ニュース(こちら→http://ro69.jp/news/detail/154810)が報じられて(新作のワールドツアーは日本から始まる)、RO69洋楽「人気記事」のトップになった。人気グループの久々のアクションなので注目されるのは分かるのだが、それでも「根強いなあ」と感嘆する。2012年の「SUMMER SONIC」で、幕張のスタジアムをパンパンに埋めていた光景が頭の中に蘇ってきた。なぜ、彼らはあんなにも人気者なのだろう。身も蓋もない言い方をすれば、ワン&オンリーだからだ。無数の人が知っているのに、亜流が生まれない。生み出すことができない。

Suchmosはジャミロクワイに似ている、と僕も初めて触れたときから思っていた。アシッドジャズ風のバンドアンサンブルに、ソウルやファンク、ヒップホップやロックなどを消化しているのだからそりゃあ似ているところもあるだろう。そこは大した問題ではない。ジャミロクワイだってデビュー時はスティーヴィー・ワンダーみたいだと言われたが、今ではパクリなどと呼ばれることはない。何言ってんのジャミロクワイだよ、というふうに、何言ってんのSuchmosだよ、ということなのである。

Suchmosは、今後もっともっと、自分たちを健全に差別化し続けてワン&オンリーのサウンドを放つバンドになってゆくと思う。凝り固まったファイティングポーズではなく、滑らかなステップで飄々と身をかわしながら、前進してゆくのだと思う。『THE BAY』から約1年半ぶりとなる今回のアルバムには、以前からライブ披露され2016年のEPにも収められた人気曲“STAY TUNE”など既発曲も含まれているが、古い世代の価値観を冷静な視線でえぐり、不敵に挑発的に、口元には微笑でも浮かべていそうな素振りで、自分たちを差別化するための素材として料理してしまう。最高にクールだ。

とりわけ、アルバム冒頭の“A.G.I.T.”や、“SNOOZE”といった楽曲が素晴らしい。歪みの美学で我が道を開拓する手捌きも、やはりクールにまとめられている。また、恒例のインストシリーズ最新作である“INTERLUDE S.G.S.4”も、自由な表現の広がりを伝えてくれる一幕だ。この2017年1月25日(水)に予定されている新木場スタジオコーストのリリースパーティはソールドアウトしており、3月からは全国ツアーも展開されるが、より多くの人に触れる機会を作って貰えたら嬉しい。(小池宏和)
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