今週の一枚 miwa『ONENESS』

今週の一枚 miwa『ONENESS』

miwa
『ONENESS』
2015年4月8日発売



「miwaはもともとまっすぐな歌を歌えたわけではない。あのまっすぐな歌は、miwaがmiwaであろうとすることで生まれてくるのだ」と書いたことがある。
その意味で言うなら、今回届いた4枚目のアルバム『ONENESS』はまさに、miwaがmiwaになってきた過程をつぶさにとらえた作品だ。
このアルバムには、miwaによるmiwaのドキュメントと言ってもいいくらいリアルな物語がある。

では、これが何のドキュメントなのかというと、それは要するに、歌の変化について、である。

このアルバムには前作アルバム『Delight』以降にリリースされた6枚のシングル曲がすべて収録されている。
両A面シングルの収録曲含め9曲。
この9曲が教えてくれることは主に2つだと僕は考えている。
それは、miwaはシングルを出すたびにーーつまり数々のタイアップに応え続ける過程において、毎回新たな世界と出会い、楽曲にしてきた、ということ。
そして、もう1点。
そのトライアルは、miwaの歌に言葉云々を超えた歌そのものとして説得力を与え、魅力を磨かせ、結果、稀代のポップスター・miwaをして、音楽家としての厚みをぐっと増幅させてきたということだ。
言い換えるなら、miwaは、歌そのもの、声そのもののパワーを本質的に磨くことで数々のヒットソングを生み出し続けてきたんじゃないか。
それはなんて健全で美しい戦い方なんだろう、と僕はいつも思う。

このアルバムにはシングル曲以外にも”ONENESS”という素晴らしい表題曲が収められている。
アルバムの始まりの曲としてトップの位置に置かれている。
この曲はとても珍しい曲だ。
何しろ、miwaにとって初めての、miwaの歌から始まる曲なのである。
そして、miwaの力強い歌い出しに続き、過去最高に攻撃的でテンションの上がる大コーラスに突入していく。
コーラスの中で歌われる歌詞はこうだ。
<声にならない声を 今掲げよう>ーー。

この曲を聴いて、miwaはmiwaとして言いたいこと、やりたいこと、やるべきことをこれまででもっとも端的にやることができたのではないかと、僕は思った。

さらに、このアルバムは最後、“希望の環(WA)”で終わる。
ファンの方なら知っていると思うが、この曲は東北の子供たちとの絆によって生まれた曲であり、静かな立ち上がりからゆっくりと気持ちを高めていき、「ひとつになる」瞬間まで徐々に物語を読み進んでいくような構造を持っている。
そして、ラストのラストはやはり大きな大きな、誰もが声を同にして歌うことができるシンプルな合唱で終わる。

そう、だから、このアルバムは声で始まり、声で終わるアルバムなのだ。
もっと言うなら、miwaの声で始まり、その声はたくさんの思いを歌い、思いを集めていき、最後にはリスナー全員の声をひとつにして終わるアルバムなのである。
タイトルは『ONENESS』。つまり、「ひとつになること」。
声で、歌で、ひとつになることーーこれはまさに近年のmiwaが何度も口にし、数々の楽曲でひとつひとつ実現させてきたテーマだ。
これほどメッセージが明解に示されたアルバムが他にあるだろうか。

『ONENESS』はmiwaの変化とたくさんのmiwaの声が詰まった本当にチャーミングなアルバムだ。
そして、miwaが老若男女に愛される理由を凝縮したような素晴らしいポップアルバムである。
そのことを声を大にして言っておきたい。
(小栁大輔)
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