●セットリスト
01. ふたりだけのパーティ
02. My Foreplay Music
03. 東京VICTORY
04. いとしのフィート
05. 恋するマンスリー・デイ
06. あっという間の夢のTONIGHT
07. 君だけに夢をもう一度
08. 夜風のオン・ザ・ビーチ
09. LONELY WOMAN
10. Ya Ya(あの時代 (とき)を忘れない)
11. 愛は花のように(Ole!)
12. 走れ!!トーキョー・タウン
13. 世界の屋根を撃つ雨のリズム
14. 栄光の男
15. はっぴいえんど
16. LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜
17. ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)
18. エロティカ・セブン EROTICA SEVEN
19. BOHBO No.5
20. マンピーのG★SPOT
(アンコール)
EN01. 希望の轍
EN02. 夕方 HOLD ON ME
EN03. 勝手にシンドバッド
でも、デビュー42周年記念日以来半年ぶりとなった今回の配信ライブ(前回は生配信)は、ただ世の人々を労い、楽しませるだけの内容ではなかった。サザンオールスターズはもしかすると、この時のために40年以上のプロキャリアを歩んできたのではないか。歴代のアルバム曲やカップリング曲も数多く引っ張り出し、10年、20年以上の歳月を経て久々にライブ披露された楽曲も少なくない。そこには確かに、世界中の音楽のエネルギーを咀嚼し、呑み込み、メッセージに変換しようとしてきたサザンのキャリアが息づいていた。これは2021年へと向かう我々のための、愛と融和の総力戦なのだ。
桑田が、医療従事者やエッセンシャルワーカーに感謝の言葉を伝え、「全国のファンの皆さんの魂と共に、ここ横浜アリーナに帰って参りました!」と告げた後には、大晦日にぴったりなサザンロック“いとしのフィート”へと向かう。そこからレゲエ風の“恋するマンスリー・デイ”、メロウなカリプソ“あっという間の夢のTONIGHT”と、膨大なディスコグラフィから次々にバンドグルーヴの引き出しを開け放っていった。まさに変幻自在である。ツアーを通して時間をかけて、レアな選曲のセットリストを仕上げてゆくならまだわかるが、この配信ライブ一発に途方もない労力を注ぎ込み、際限なく豊かな音楽の時間を導き出しているのである。
とりわけ圧巻だったのは、「次の曲なんだっけ?」、「え、俺?」、「俺?」(原やTIGERも口々に言っている)とトボケた前フリを挟み込んでからの“愛は花のように(Ole!)”や、“走れ!!トーキョー・タウン”、そしてアルバム未収録のディープなサイケデリア“世界の屋根を撃つ雨のリズム”という怒涛のレア曲連打であった。人生の悲喜交々をもってこそ雄弁に語る、サザン作品の奥行きの深さに震えが走る。
今回のステージで披露された楽曲たちには、サザンが消化・吸収してきた多様なグルーヴだけではなく、日本語や英語、スペイン語やフランス語、中国語などの歌詞が散りばめられていた。世界中の人々が病魔に脅かされ、物理的にも精神的にも分断され孤立した時代に、サザンはありとあらゆる手段を尽くして「うた」のエネルギーを呼び起こし、対話の時間を作り上げたのだ。アンコールの最後は、アリーナ内で和装ダンサーが踊りまくる “勝手にシンドバッド”。桑田は「暮れも正月もなく 人の命を守る 医療従事者の皆さん そして家族の方々を守ろう 収束が見えて来ない みんな苦しいけど コロナ禍を乗り越えて いつか素敵な未来を 迎えよう」と歌詞を変えて歌っていた。日本各地にスタッフが赴いて打ち上げたという、美しい花火の様子で、今回の映像は締め括られる。人類は、決して無力ではない。音楽が、映像が、そんなふうに語りかけてくる配信であった。(小池宏和)
※1月29日(金)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』3月号には、同ライブのレポート完全版が掲載されます。
※本公演「サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020『Keep Smilin’〜皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!〜』supported by SOMPOグループ」のライブ映像は、各配信プラットフォームで、1月7日(木)23:59まで見逃し配信を視聴することが可能。チケットの購入は1月7日(木)21:30まで。
●主なラインナップ
・[Alexandros]
・別冊BABYMETAL
・宮本浩次
・SEKAI NO OWARI
・あいみょん
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