フラワーカンパニーズ @ 日比谷野外大音楽堂

フラワーカンパニーズ @ 日比谷野外大音楽堂
フラワーカンパニーズ @ 日比谷野外大音楽堂
フラワーカンパニーズ @ 日比谷野外大音楽堂 - pic by Eri Shibatapic by Eri Shibata
結成20周年ライブにして、実に11年ぶりとなるフラワーカンパニーズ日比谷野音ワンマン『20年だヨ! 全員集合』。スタッフは全員、『8時だヨ! 全員集合』でドリフが着ていたのを模したハッピ姿(MCでグレートが言っていたけど、厚意で作ってくれた人がいたそうです。最初に見て「こんなとこに金使って大丈夫か?」と思ってしまった自分がイヤだ)。
2時間半ちょうどくらい、セットリストは以下の通り。開演5分くらい前に雨が降り始めてしまいましたが、13曲目あたりでやみました。


1.馬鹿の最高
2.あの日見た遠い空
3.永遠の田舎者
4.イッツ・オンリー・ロッキュンロール
5.脳内百景
6.ライトを消して走れ
7.終身刑
8.冬のにおい
9.はぐれ者讃歌
10.この胸の中だけ
11.夢の列車
12.孤高の英雄
13.深夜高速
14.東京タワー
15.白目充血絶叫楽団
16.NUDE CORE R&R
17.ロックンロール・スターダスト
18.俺たちハタチ族
19.YES FUTURE

アンコール1

20.夜明け
21.恋をしましょう
22.真冬の盆踊り

アンコール2
23.さよならベイビー


ブログにも書いたが、僕はこのバンドに関しては、よくも悪くも、いやどっちかというと「悪くも」だけど、長い付き合いのうちに、スタッフの気持ちで接するようになってしまっているところがあって、ゆえにセットリストに関しても、演奏に関しても、演出やMCや構成に関しても、いつも、いいとこよりも悪いとこの方が目について、イライラハラハラしながらライブを観ていることが多いんだけど、今日は本当にそれがなかった。
11年前の野音はもちろん、過去のフラカンの歴史において節目になった、東京圏におけるライブはほとんど観ていると思うが、それら全部含めても、圧倒的に一番よかった、とまで言ってもいい。
ガラスの喉なくせにリミッターを超えた歌い方をするため実は不調なことが多い圭介のボーカル、この日はおそろしく絶好調。安定感と大暴れを同時に放ち続けるグレートマエカワのベース及びアクション、さらに圭介を絶妙にいじりながら単独でも笑いをとるMC、今日も文句なし。なんか長いことやっているうちに日本有数のロック・ギタリストの域に入ってきてしまった(っていうの、僕とバースディのキュウちゃん以外はあんまり言わないけど、我々は本当にそう思っている)竹安のプレイ、今夜もさえわたっていた。特に、“夢の列車”の、10分以上にわたるたったひとりでアコースティック・ギター・ソロ、久しぶりだったのも含めて、本当に鬼気迫るものがあった。それに、小西のドラム。はっきり書いてしまうが、ずっと、演奏面におけるフラカンのウィークポイントだったが、昔から観ている身からすると「え? これ小西? 嘘?」と言いたくなるくらい、気持ちいい2拍4拍のリズムを、いつの間にかたたき出すようになったことを、改めて実感した。

心配された、というか僕が心配していた圭介の「MCでしゃべりすぎ」も、なかった。同じく心配していた「イヤなこと言いすぎ」は、ちょっとあったけど。最初のMCの「野音、11年ぶりだよ? 俺、29だったよ! だから次は51歳の時だよ」というのと、ワーッて盛り上がった客席を見ながら「解散ライブみたいだねえ」というのが、その最たるもんでした。

アンコール“真冬の盆踊り”では、友達のミュージシャンや芸人が大挙して登場、場を大いに盛り上げる。YO-KING、ウルフルケイスケ、サンコンJr.、クハラカズユキ、堂島孝平、小宮山雄飛、元くるりもっくん、LOST IN TIME海北大輔、アナログフィッシュ佐々木健太郎、キャプテンストライダム、ダイノジ、東京ダイナマイトのハチミツ二郎などなど、総勢30人くらい。ゲストというよりも、単に、観に来たみんなに「ここで出てきて」とグレートが頼んだらしい。楽器を持っていたのはウルフルケイスケだけで、あとは踊ったり、走り回ったり、あおったり、てもちぶさたそうだったり、それぞれな感じでした。

で。あとふたつだけ書いておきたい。
ひとつめ、観ながら改めて気づいたんだけど、20年にわたり書き続けられ、歌い続けられてきたフラカンの歌には、1曲たりとも「俺はこれでいいんだ」という自己肯定の歌がない。じゃあ何があるのかというと、昔は「俺はダメだ」という自己否定の歌。今は、それに加えて「俺はダメだからなんとかダメじゃなくなるしかない」という歌もある。ということだ。
それが炸裂したのが、中盤の“夢の列車”“孤高のヒーロー”“深夜高速”“東京タワー”の4連発。特に“東京タワー”の、「歳はとるぜ 汚れてくぜ いつか死ぬぜ 神様はいないぜ」と、それに続く「夢がなくて 金がなくて 傘がなくて 靴がなくて 友がなくて 彼女がなくて アテがなくて ツテもなくて 髪が抜けて 豚になって 仕事がなくて 未来がなくて 負けて負けて 泣けて泣けて もう最低にダメでも」というくどいまでのたたみかけ、そしてサビの「HEY HEY HO 奥歯 かんで かんでGO」という圭介の絶叫。
ここで、このシチュエーションで、このフラカンがこの歌をやった時の、リアリティと説得力は、ちょっとすごいもんがあった。

もうひとつ。二度目のアンコールの最後、圭介は、「今日ここに来てくれたみんな。来れなかったみんな。それから、天国に行っちゃった人。届くといいなと思って、歌います」と前置きしてから、“さよならベイビー”を歌った。
これは、フラカンがかつて所属したアンティノスレコードのボスだった人が、今年亡くなったことを指している。最もフラカンの面倒を見た人であると同時に、最後にフラカンの契約を切った人でもある。バンドからすると、愛憎入り混じった、いろんな思いがあった相手だと思う。
だからなのか、アンティノスを離れたあと、「ライブを観に来てください」と一度も言ったことがなかった。でも、この野音には、来てもらおうと思っていた。「ゼロから自分たちだけでやり直して、ここまで来れました」ということを伝えるために。でも、その前に亡くなってしまった──ということを、亡くなった時に圭介はブログで書いていたけど、この日はそれを説明せず、でも何にも言わないわけでもなく、前述のひとことだけですませた。
こいつ、わかってるなあ、いいなあと思った。

なお、次の20周年記念企画の一環として、この日、12月12日(土)渋谷O-EASTで主催企画「シリーズ・人間の爆発」を開催することを発表。

グレート「まだ言えませんが、はっきり言ってすごいゲストが出ます。鈴木には教えてません、すぐ言っちゃうからね」
圭介「そう、俺すぐブログに書いちゃうから」

だそうですが、私、知ってます。確かに、なんならフラカン出なくていいくらいのゲストです。それは言いすぎ。でもそれくらい期待していいです。ぜひ。
それから、1月末に、オールタイム・ベスト・アルバムのリリースも決定。今、公式サイトで、「フラカンを聞くなら絶対外せない3曲はどれ?」というリクエスト企画をやっています。そちらもぜひ。(兵庫慎司)
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