ファウンテインズ・オブ・ウェイン @ 渋谷クラブクアトロ

東京&大阪の2都市/3日間の行程で行われたFountains Of Wayne(ファウンテインズ・オブ・ウェイン/以下FOW)の「ACOUSTIC ROCK TOUR - JAPAN 2010」。ベースのアダムがテイラー・ハンソン(HANSON)、ジェームズ・イハ(ex.SMASHING PUMPKINS)らと共に立ち上げた新バンド・Tinted Windows(ティンテッド・ウィンドウズ)でひと足先に来日公演を行っていて、それありきで企画された今回のアコースティック・ツアーなんだろうけど、久々に4人に会えるとあって今夜のツアー2日目/渋谷クラブクアトロ公演初日には大勢のファンが詰め掛けた。

定刻(午後7時)を10分ほど過ぎた頃、数本のアコースティック・ギターとドラム・セット(後方にはグランド・ピアノも)がセッティングされたステージにメンバーが登場。「コンニチワ!」とダンディな無精髭をたくわえたクリスが挨拶し、オープニングの“Little Red Light”を軽やかに奏でるFOW。続けて“Someone To Love”のイントロが鳴らされると、フロアからは「フォ――!」という大きな歓声も。風通しの良い、低音圧のアコースティック・サウンドゆえ、クリスのチャーミングなボーカルがとてもクリアに響き、良質なメロディがさらに際立って聴こえてくる。アダムとジョディのハーモニーも美しい。

冒頭の2曲を終えてアダム、「アリガトウゴザイマース!もうちょっとでレコーディングが終わるんだ。僕らってすごくスローでレイジーだけど(笑)、あとちょっとでフィニッシュだから。次は新しい曲を演るよ」と“The Summer Place”という新曲をプレイ!力強いビート感と即シンガロング可能なメロディが爽快な、「これぞFOW!」な一曲だった(その他にもいくつかの新曲を披露。「今年か来年、もしかしたら10年後になるかも……」なんて冗談めかしてクリスが言ってたけど、新作が今から楽しみ!)。

たびたびお客さんと会話を交わしたりして、とてもフレンドリーでカジュアルな雰囲気のなかライブは進行。少なくない来日回数を重ねてきたFOWだけに、物静かな日本のオーディエンスのほぐし方も巧妙で、中盤の“Hey Julie”では「この中にパーカッショニストかジーニアス(天才)はいる??」(アダム)と呼びかけて客席から3名のお客さんを壇上へ。鈴やマラカスを持ってバンドと一緒にプレイし(フロアのお客さんは盛大なハンド・クラップで参加)、バンドとオーディエンスの距離をグッと縮めてみせた。MCでも、「昨日の大阪ではピアノにエルトン・ジョンを迎えたんだけど、今夜はアリシア・キーズが来てくれてます」、「ワタシは世界のクロサワです」などなど、小ボケとコミカルな日本語を交えて大いに会場を沸かせていた(特にクリス、しれっとボケまくってたなあ・笑)。

アンコールではアダムがしっとりとしたピアノ・フレーズを弾き始め、「どのバラードを演ってくれるんだろう?」とワクワクしながら待ち受けていたら、意外にも“Stacy's Mom”! このアコースティック・アレンジが絶妙で、元曲の無邪気なポップさが切実かつセンチメンタルな響きをもってクアトロに染み渡ったのだった。「今夜はホントにどうもありがとう!フジ・ロックでまた戻ってくるよ。今度はエレクトリック・ギターを持ってね」(アダム)、「それとモンスターのコスチュームも(笑)」(クリス)と呼びかけ、最後に“Denise”を届けてフィナーレ。稀代のポップ職人としての彼らの熟達したステージングを存分に堪能できた、とても贅沢な時間だった。(奥村明裕)
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