ストーリー・オブ・ザ・イヤー@渋谷O-EAST

ストーリー・オブ・ザ・イヤー@渋谷O-EAST
ストーリー・オブ・ザ・イヤー@渋谷O-EAST
ストーリー・オブ・ザ・イヤー@渋谷O-EAST
ストーリー・オブ・ザ・イヤー@渋谷O-EAST - pics by Naoaki Nashimapics by Naoaki Nashima
いきなり新作アルバム『コンスタント』から飛び出した“チルドレン・シング”――音源では子供のコーラスで歌われていたパートを、渾身のフロア一丸大合唱でステージに向け歌い上げ、ラウドなバンド・サウンドとがっちりギアを合わせてみせるオーディエンス! 東名阪を回る2010年ジャパン・ツアー最終日=渋谷O-EAST公演、ストーリー・オブ・ザ・イヤーのステージ開始と同時に生まれた胸が熱くなるようなロックの風景は、アンコール最後の“アンティル・ザ・デイ・アイ・ダイ”まで一瞬たりとも途切れることなく続いていた。

危機感と闘争心をそのままハード・エッジな轟音に置き換えたようなサウンドで、00年代USハードコア・パンク・シーンを牽引しつつ、単独公演やらフェスやら『テイスト・オブ・ケイオス』やらでほぼ毎年のように来日を果たしてここ日本でも盤石のファンベースを築いているストーリー・オブ・ザ・イヤー。新作『コンスタント』を引っ提げて満を持しての来日!というタイミングではあるが、下のセットリストを見ていただければわかる通り、『コンスタント』の曲は“チルドレン・シング”の他に“ゴースト・オブ・ユー・アンド・アイ”“ドリーム・イズ・オーヴァー”の3曲のみ。それでも、冒頭の大合唱を引き合いに出すまでもなく、『コンスタント』の楽曲と「今」のモードがファンの間ですっかり血肉化され、キッズの新たなエネルギーとエモーションの源となっていることがびしびしと伝わってくる、そんなアクトだった。

そして、1st『ペイジ・アヴェニュー』、2nd『イン・ザ・ウェイク・オブ・デタミネイション』、3rd『ブラック・スワン』、最新作=4th『コンスタント』からまんべんなくセレクトされた全13曲+アンコール2曲でもってストーリー・オブ・ザ・イヤーの5人が提示していたのは、00年代の「混沌と狂騒の表現」として絶大な支持を得たハードコアの「その先」のスケール感だった。カオティックな世界を活写するロックの時代は過ぎた。今、ロックはどれだけ強靭に、僕らが進む先の風景を描くことができるか?――ということを、彼らはメタル寸前の超絶ギター・プレイ/鋼のようにタフな破壊力を持つビート/シンガロング必至の雄大なメロディといったパーツの1つ1つをシビアに精査しながら、極限まで強靭なロックを組み上げてみせた。彼らの轟音がいちいち僕らを鼓舞し希望の彼方へ駆り立てるように響くのはそのせいだろう。

ステージまで辿り着いたクラウド・サーファーたちの手をがっちり握り、もうもうとフロアから立ち上る熱気に、「ファッキン・アメージング!」と満足げなダン(Vo)。日本語は「はい!」程度しかしゃべらないダン。「トーキョー、サイコーデス! ゲンキデスカ?」とちょっとだけマシな日本語を披露するアダム(B)。「いつも日本のファンのことを考えながら曲を作っていたんで……」というバンドからの感謝のメッセージを訳しにきた通訳氏に「今日は日本にハーフの子供を作って帰るんで……」とロクでもない抱負までわざわざ訳させるライアン(G)。終盤、“イン・ザ・シャドウズ”ではフィル(G・Cho)とライアンがアンプから鮮やかにバク宙きめたり、後半のキメでジョシュ(Dr)意外の4人が驚異のハイ・ジャンプを見せたり……といった「ショウ」としてのパフォーマンスのキレっぷりが、そのシリアスな音楽と渾然一体となって襲いかかってくる、実にスリリングで歓喜に満ちたステージだった。

なお、今回のジャパン・ツアー3公演でサポート・アクトを務めていたのは、つい先日Pay money To my Painのツアーにも参加したばかりのヘヴィ・ロック・バンド=Supe(シュープ)。音圧もミックスも日本人離れしたサウンドと挑発的な英語MCでもって、19時の開演早々思いっきりフロアを圧倒していたが、それもそのはず。彼らは日本のバンドながら、約10年のバンド・ヒストリーのうち7年間をカリフォルニアで過ごし、08年のワープト・ツアーや09年のストーリー・オブ・ザ・イヤーのアジア・ツアーなどにも参戦してきた猛者。「(ストーリー・オブ・ザ・イヤーの)準備運動だろ? かかってこいよ!」とオーディエンスを煽りダイヴをきめ……といったKihiro(Vo)の死に物狂いのアジテーションとスクリームがしかし、パワフルなバンド・アンサンブルとサビの伸びやかなメロディ、そして「『日本のロックなめんなよ!』って叫び続けたいって思ってる」というメッセージと一丸となって、30分のアクトの間にオーディエンスを自分の世界に巻き込む強烈な原動力になっていた。2010年日本の「夏フェス以降」の台風の目になるかもしれない――と思わせるだけの存在感が、その音にはある。

日米の重低音精鋭がしのぎを削った最高の一夜。“アンティル・ザ・デイ・アイ・ダイ”の肌を刺すディストーションの余韻が消えるまでのトータル2時間強を光速走破するようなスリルと迫力を、この日のアクトは与えてくれた。(高橋智樹)


[SET LIST]
01 Children Sing
02 And The Hero Will Drown
03 Falling Down
04 The Antidote
05 Our Time Is Now
06 The Ghost Of You And I
07 Anthem Of Our Dying Day
08 Take Me Back
09 Stereo
10 Wake Up
11 The Dream Is Over
12 In The Shadows
13 "Is This My Fate?" He Asked Them
EC1 Sidewalks
EC2 Until The Day I Die
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