ストーリー・オブ・ザ・イヤー @ 渋谷クラブクアトロ

1曲目“And The Hero Will Drown”から、もうこの10年間で全曲身体に染み込んでいるであろうオーディエンスの轟々たるシンガロングが渦を巻き、さらにそれを全身で受け止めて絶唱するダンの声とライアン/フィリップ/アダム/ジョシュの爆音が響き渡る――USパンク/ハードコアの雄=ストーリー・オブ・ザ・イヤー、今年でデビュー10周年!ということで、まさに『10th ANNIVERSARY PAGE AVENUE TOUR Japan 2013』というツアー・タイトルの通り、10年前のデビュー・アルバム『ペイジ・アヴェニュー』をライブで全曲再現――という内容は事前にアナウンスされていたものだが、実際に目の当たりにすると、その超弩級の迫力と、だからこそ描き出せる無上の高揚感に、あっさりと頭を撃ち抜かれてしまった。今回のジャパン・ツアーはこの後23日:仙台darwin、25日:梅田クラブクアトロ、26日:名古屋クラブクアトロ、そして28日には再び東京に戻って渋谷O-EAST、と続いていくのだが、ネタバレも何もそのままズバリの内容なので、まずは以下、本編のセットリストから(さらにその下にアンコールのセットリストもあるので、他公演をご覧になる方はご注意を)。


01.And The Hero Will Drown
02.Until The Day I Die
03.Anthem Of Our Dying Day
04.In The Shadows
05.Dive Right In
06.Swallow The Knife
07.Burning Years
08.Page Avenue
09.Sidewalks
10.Divide And Conquer
11.Razorblades
12.Falling Down

というわけで、曲目・曲順は完全に『ペイジ・アヴェニュー』通り。ただし、まったく違うのが、5人のサウンドの強度とスケール感だ。BPM的にはスロウな3拍子の“Anthem Of Our Dying Day”を、クアトロごとロックの彼方へ吹っ飛ばすほどのハード・エッジなサウンドで、ここまでアグレッシブかつダイナミックに鳴らせるバンドが、今の彼ら以外にいるだろうか? デビューから10年分だけ歳を重ねてはいるものの、その音は衰えるどころかますますソリッド&エネルギッシュに鍛え上げられ、1音1音が巨大な弾丸のようなインパクトをもってフロアに飛び込んでくる。前回のツアー(2012年)を観られなかったので、個人的には彼らのワンマンを観るのは2010年6月のO-EAST以来なのだが、当時サウンド的に新機軸に挑戦した最新作『ザ・コンスタント』モードだったことを差し引いても、この日のSOTYのエモーショナルな爆発力はその時よりも遥かにでっかいものだった。シリアスでヘヴィで衝動的で、だからこそ観る者すべての情熱に瞬間着火せずにおかないSOTYの真価が高純度凝縮されたようなアクトだった。

そして、ほぼ毎年に近いペースで来日を果たしている彼らだけに、ファンとの絆が強く、熱い。重轟音を連射してサーファー&サークルモッシュ続出させる爆演の合間に、MCでは「アリガトゴザイマース!」とダンがオーディエンスに快活に呼びかけてはライアンと缶ビールを合わせて「カンパーイ!」と拍手喝采を巻き起こしたりしている。アンコール中にも、通訳スタッフを舞台に招き入れて 「今回、日本11回目で。このアルバムで本当に人生が変わって。ほんとに今日、みんな来てくれてありがとうございました!」というメッセージを代弁させる傍らで下ネタを連発したり、シリアスと悪ノリの振り切れ具合が途方もなく大きい。が、それすらも心地好く響いてしまうのは、10年間その表現を鍛え上げてきたダンはじめ5人ならではの懐の深さと言える。

そしてアンコール。“Pale Blue Dot(Interlude)”をSEに登場した5人、“The Antidote”“Take Me Back”“Wake Up”と畳み掛けたところで、ガンズ“Sweet Child O' Mine”から怒濤のメドレー大会へ。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを「俺はラップできない(笑)」とインストでさらっと披露したあと、マイケル・ジャクソン“Beat It”、さらにイエローカード“Ocean Avenue”、テイキング・バック・サンデイ“Cute Without The "E"”、マイケミ“Helena”、ザ・ユーズド“The Taste Of Ink”と同時代の盟友たちの楽曲を、ワンフレーズ程度ながら立て続けに披露。ただでさえむせ返るような熱気に満ちたクアトロの温度がさらに上がる。最後は“Stereo”で大団円……かと思いきや、アンコールを求める手拍子と歓声に導かれて再び5人がオン・ステージ、“"Is This My Fate?" He Asked Them”で完全燃焼! 「デビュー・アルバム再現」を遥かに越えた、充実のアクトを観せてくれた。

ちなみに、今回のツアーでサポート・アクト(ファイナル=O-EAST公演を除く)を務めているのは、日本の若手ラウド系の中でも頭角を現しつつある精鋭5人組=MY FIRST STORY。ヴォーカル=Hiroも「中学の時から好きだった」と話していた通り、この日のSOTYとの共演を心の底から楽しみにしていたようで、いきなり“The Story Is My Life”から全力で攻め倒す。ソリッドで獰猛なサウンド越しに蒼き衝動を噴き上げながら、SOTYファンでぎっちり埋まったフロアを1曲また1曲と引き込み震わせていたのが印象的だった。次回は6月23日・仙台darwin公演!(高橋智樹)
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