ファウンテインズ・オブ・ウェイン @ 恵比寿LIQUID ROOM

前々回来日の代官山UNITも、前回来日のフジ・ロックのレッドマーキーも見事に満員御礼だったファウンテインズ・オブ・ウェイン。もちろん今回のリキッドルームも超満員なのである。客層は幅広く子供連れから中高生と思しき若人勢まで、とにかく皆揃って、笑顔で最初から最後まで揺れっぱなしなのである。そんな幸福な風景を「当たり前」のように毎回毎回生み出していくファウンテインズ・オブ・ウェインは、恐らく現在の日本の音楽シーンにおいて最も愛されているパワー・ポップの至宝である。

1997年のデビューだからファウンテインズも早10年選手。今日のステージでも改めて感じたが、デビュー・アルバムの楽曲と最新作『トラフィック・アンド・ウェザー』の楽曲が等しく愛されているのも彼らの凄いところだ。たとえば懐かしの“RADIATION VIBE”と最新の“サムワン・トゥ・ラヴ”の間に10年の時差は微塵も感じられず、アダムとクリスのコーラスの透度も濁ることがない。エヴァーグリーンと言うのは容易いが、一切懐メロ化せずに十八番の「パワー」と「ポップ」を瑞々しく保ち続けているその様は、少し異様ですらある。

中でも最も盛り上がるのはやはり2003年の傑作『ウェルカム・インターステイト・マネージャーズ』からのナンバーで、前半は“メキシカン・ワイン”がスパークし、後半では“ステイシーズ・マム”がハイライトになっていた。1時間半で全22曲。彼らの音楽に革新とか進化はないかもしれないけれど、いつでも「戻ってこれる場所」としての暖かさと安寧を、今回もまた十二分に感じさせてくれたステージだった。(粉川しの)
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