「ようこそおいでくださいました。SPARKS GO GOです。ゲストの、SPARKS GO GOです。キューンには2,3年しかお世話になってないのに、こんなおめでたいパーチーに呼んでくださってありがとうございます」とヤック。「キューン万歳!」とプレイされたのは、目下の最新アルバムにしてキューンからリリースされた『SUNBURST』から“bird”である。アルバムのリリース当時、筆者はその燃え盛る太陽のかっこいいジャケット・アートワークを電車の中吊り広告で見つけて「おおっ!!」と声を上げ、一目を憚らず携帯で写真を撮ったのを思い出した。
6月末にはキューンから6曲入りの新作がリリースされるそうで(メンバーは誰一人としてリリース日を把握していなかった)、そのタイトル曲と紹介された“BEAUTIFUL WORLD”も披露。スパゴーらしい肯定性が全開の一曲だ。ヤックは「我々3人と、エンジニアと、マネージャーと、あとバイトくんで、より分けて、吟味して、丹精込めて、練り上げた、表面はカリッと、中身はふわっと、仕上げましたので、ぜひご賞味ください」と語っていたので、ぜひともチェックを。終盤は“SAD JUNGLE”〜“SLOW DOWN”〜“ざまーない!”という連打で、平均年齢は決して低くないオーディエンス(失礼)がばんばか跳ねまくる。誰が、というわけではない。この3人でステージに立てばいつでも最高。そんな理想的な、ロック・バンドの姿だった。
「初日に真心ブラザーズで出さして頂きまして、そのときにおめでとうをたくさん言ったので、今日は一回しか言いません!」とYO-KING。まあとにかくこのバンドの演奏を聴いてくれ、とばかりに、フォーキーでじわじわと染み入るようなバンド・アンサンブルの“いつも笑顔で”を披露する。そして、紛れもなくYO-KINGの芯の強い歌が核にあるのだけど、それに寄り添ってゆくサウンドの手応えがとてもフレッシュな“いつかのうみ”。名曲群だからこそ、この顔ぶれならではのパフォーマンスが際限なく引き立ち、呑み込まれてしまう。「こう見えて、高い声もだけど低い声も魅力的です。今後は、フランク永井みたいな歌を作って、紅白も狙っていきたいと思います」とお得意の自画自賛。ハンド・マイクでソウルフルな歌を聴かせる“輝く星と楽しい遊び”へと繋いだ。
奥野:「フランク永井みたいだったよ」
YO-KING:「おおっ、喋り出したなソウルフラワー!」
奥野:「やっぱパワステはいいねえ」
YO-KING:「(笑)タクシーに乗るといまだに、パワステの前で、とか言うらしいよ。バンド・ブームの申し子だからね」
奥野:「自分もやん」
YO-KING:「バンド・ブーム世代だけど、いつまでも若いままだぜ! 心は永遠の29歳、YO-KING & クレイジーバッファローズ!!」
「どうもありがとう楽しかったです! スパゴーとYO-KINGを観に来た人は、幸せになります。んははは! だからなんも心配してません。勝手に幸せになりましょう。俺も勝手に幸せになります!」と本編ラストの“泣かないけどね”へと向かうのだった。こんなバンドを1時間ほどしか観ることが出来ないなんて、それはそれで勿体ない気もするけれど。アンコールは、YO-KING & クレイジーバッファローズがスパゴーを招き入れて、8名のベテラン・ロッカーたち(おおはたはこの顔ぶれだとどうしても若手になってしまう)がステージ上に勢揃いだ。
ヤック:「何やんの?」
YO-KING:「何やろうか(笑)」
ヤック:「二人でずっと喋ってる? 生い立ちから」
YO-KING:「どこ生まれだっけ? 北海道・倶知安! 知ってる。行ったことある!」
ヤック:「来たことあるよね。なんかラップとかやってたよね」
YO-KING:「あと、体育館の床に穴あけたことある(笑)。今年もまたやるんでしょ? 秋に」
ヤック:「倶知安ではやらないよ。新木場で」
ヤック、新作の発売日は覚えてないわ、イヴェントの告知はしてないわであんまりである。YO-KINGにフォローして貰ったようなものじゃないか。そんな感じでやりあいながらも、豪華共演はスパゴーのカヴァー・レパートリーでもあるCCRの名曲“Have You Ever Seen The Rain(雨を見たかい)”だ。なんだかんだ言っても、YO-KINGとヤックのパワフルなヴォーカル・リレーはすごい。あと、YO-KINGの本編終盤にプレイされた“Hey! みんな元気かい?”から、物語が続いている感じになっているのも良かった。
2組のバンドを通して、なんでこんなにも「かっこいいと感じるロックのツボ」を突きまくってくれるのか、と思いながら観ていたが、違った。そもそもこの人たちに、「かっこいいと感じるロック」を教わってきたのだから、当たり前なのである。これから先も、彼らには教えてもらわなければならないロックが、まだまだ山ほどあるはずだ。(小池宏和)
セット・リスト
SPARKS GO GO
01: NEW ROSE
02: SOOKIE SOOKIE
03: NORTH SEA ROAD
04: bird
05: Sandy's Sunday
06: Easy Ride
07: BEAUTIFUL WORLD
08: サマーオブラブ
09: SAD JUNGLE
10: SLOW DOWN
11: ざまーない!
YO-KING
01: バランス
02: いつも笑顔で
03: いつかのうみ
04: 輝く星と楽しい遊び
05: FOREVER YOUNG
06: Beast of Burden
07: ハリボテROCK
08: DREAM IS OVER
09: Hey! みんな元気かい?
10: 泣かないけどね
EN: Have You Ever Seen The Rain (with SPARKS GO GO)
※上記ライヴレポート中のSPARKS GO GOのセットリストに誤りがあり、 4月13日18:15に修正いたしました。ご迷惑をおかけしました関係者の皆様、読者の皆様に深くお詫びいたします。(RO69編集部)