a flood of circle @ SHIBUYA-AX

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I LOVE ROCK’N’ ROLL!! もう全身で、というか会場全体でそう叫んでいるような凄まじいアクトだった。a flood of circleの4thアルバム『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』のリリースツアー、ファイナルとなるSHIBUYA-AX公演。「ロックンロール!」と佐々木亮介(Vo/G)が叫べば「ウオー!」とフロアが絶叫し、ガムシャラなまでに突き進むヘヴィな音塊が火を噴けば、SHIBUYA-AXはたちまちモッシュとダイブとシンガロング渦巻く熱狂空間に化していく――まるでロックンロールという最強の表現普段とライブハウスという最高の遊び場を手に入れたばかりの子供のように、原始的なエネルギーを爆発させていくメンバーとオーディエンスの姿が、そこにはあったのだ。

関係者受付でセットリストをもらった瞬間、思わずニンマリしてしまった。

セットリスト
1.Blood Red Shoes
2.The Beautiful Monkeys
3.賭け(Bet! Bet! Bet!)
4.Whisky Bon-Bon
5.ミッドナイト・サンシャイン
6.Sweet Home Battle Field
7.I LOVE ROCK’N’ROLL
8.Hide & Seek Blues
9.Boy
10.YU-REI Song
11.Buffalo Dance
12.Human License
13.Quiz Show
14.プシケ
15.月に吠える
16.感光
17.I LOVE YOU
18.King Cobra Twist –session #6-
アンコール
19.春の嵐
20.見るまえに跳べ
21.シーガル

前半10曲に最新アルバムの曲がずらり。11曲目からはライブ定番曲を畳み掛け、再び最新アルバムの曲で本編を終えるという構成だ。リリースツアーだからアルバムの曲をやるのは当然なんだけど、この徹底的に振り切れたセットリストに、彼らの最新アルバムに賭けた思いが見て取れる。「ブルースの奥深い情感をソリッドなロックンロールに乗せて如何に伝えるか?」という命題と真正面から向き合ってきたAFOCが、心より先に身体に響くロックンロールの根源的なパワーに立ち返り、そのエネルギーをシンプルに解き放った最新アルバム。そこで手にしたダイナミックな熱狂を、ライブという生の場所でより確たるものにしようとしているのだろう。

a flood of circle @ SHIBUYA-AX
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そして、開演したライブはまさしくそういうものになっていた。ホーン音がブルージーに鳴り響くSEでゆっくりオン・ステージしたと思いきや、“Blood Red Shoes”のイントロでいきなりオイ・コールを巻き起こしてしまった4人。“The Beautiful Monkeys”ではザクザクと突き進むビートでハンドクラップを誘い、“賭け(Bet! Bet! Bet!)”では灼熱のロックンロールを転がしてオーディエンス1人1人の心に火を点けていく。そして早くも絶頂を築いてしまったのが、“Sweet Home Battle Field”“I LOVE ROCK’N’ROLL”の2連打。太陽の中心へまっしぐらに飛び込んでいくような“Sweet Home Battle Field”を経て、「I LOVE ROCK’N’ROLL」のシンガロングを引き起こしたArrowsのカバー曲“I LOVE ROCK’N’NROLL”では、なんと佐々木がフロアにダイブ! 「皆で歌えますか? 簡単な言葉だろ。そしてすげえ大事な言葉!」とシンガロングを煽り立てながら衝動を剥き出しにしていく佐々木の姿は、まるでロックの化身のようだった。

もちろん今夜の熱狂は原始的なパワーにのみ支えられていたわけではない。強力かつ安定感あるビートを叩き出す渡邊一丘(Dr)と、オフショルダーのブラックドレスを揺らめかせながらグルーヴィーなベース・ラインを走らせるHISAYO(B)。淡々とした佇まいでアグレッシヴなリフを掻き鳴らしていくサポート・ギター曽根巧(talk to me)とのコンビネーションも抜群で、聴き手の快感にダイレクトに訴えかけるそのグルーヴは、ここまで全国18ヶ所をまわったツアーを通してがっつり鍛え上げられてきたことがよくわかるものだった。さらに見逃せないのが佐々木のヴォーカルだ。時に耳をつんざくようなガナリ声を発し、時に伸びやかに歌い上げながらロックの衝動とブルースの情感を同時に伝えていくその歌声は、以前より表現力を格段に増していた。中でも静と動の狭間を彷徨いながらじわじわとカタルシスを築いていった“Hide & Seek Blues”は、そんな彼らの成長をしっかりと物語るものだったと思う。

後半はクライマックスへ向けてキラー・チューンの連打。ドス黒く渦巻くグルーヴがフロアを大きく揺さぶった“Buffalo Dance”、溢れ出すエモーションがハリケーンのごとく吹き荒れた“Human License”、アンビエントなグルーヴが色鮮やかに咲き誇った“プシケ”――。最新アルバムの曲を聴いた後だと、ブルースとロックとダンスがマーブル模様を描いて奥深いエモーションを生み出していく過去曲が、また新鮮な輝きをもって胸に迫ってくる。そして目も眩むほどの黄金の光に包まれた場内に、祈りに満ちた歌声が降り注いだ“感光”から、再び最新アルバムの楽曲へ。ロックンロールへの愛を陽性のサウンドで解き放った“I LOVE YOU”、聴き手の腰を無尽蔵に揺さぶるコブラツイストとHISAYO→渡邊→曽根→佐々木のソロ・リレーでフロアを沸かせた“King Cobra Twist -session #6-”をノンストップで叩きつけ、再び原始的なエネルギーを爆発させて本編のクライマックスとした。

a flood of circle @ SHIBUYA-AX
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アンコールでは“春の嵐”に続いて、ツアーのサブタイトルにもなっている「見るまえに跳べ」をタイトルに冠したツアーテーマソング(新曲)を披露! 最新アルバムの爆発力をさらにシンプルに突きつめたような陽性ロックンロールが投下されると、フロアはハイジャンプとハンドクラップで満たされる。さらに曲の終盤では天井から無数のバルーンが落下して、SHIBUYA-AXは歓喜に満ちた祝祭空間に!! そのまま“シーガル”で大シンガロングを呼び起こし、全21曲・1時間45分という電光石火のアクトは終幕を迎えた。

「またロックンロールしようぜ! 迷ったらライブハウスに来い!」。すべてを出し尽くした後、そう告げてステージを去った佐々木の背中はものすごい圧勝感に満ちていた。ロックンロールへの愛情と、揺るぎない前進意志。最新アルバムと本ツアーを経て、そこに賭ける思いをより確かなものにしたa flood of circleは、ここからまた力強く転がり続けていく。(齋藤美穂)
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