geek sleep sheep @ EX THEATER ROPPONGI

geek sleep sheep @ EX THEATER ROPPONGI - all pics by 岡田貴之、石川浩章all pics by 岡田貴之、石川浩章
まるで甘美な夢の世界に浸っていたような90分。3人の才気とピュアネスがヴィヴィッドに浮かび上がる音像に、じわじわと興奮が押し寄せるステージだった。L’Arc~en~Cielのyukihiro(Dr)、凛として時雨の345(Vo/B)、MO’SOME TONEBENDERの百々和宏(Vo/G)の3人が2012年秋に始動させたバンド=geek sleep sheep。そのバンド初となる東名阪ワンマンツアーのファイナル公演である。昨年10月にシングル『hituji』でメジャー・デビュー、12月11日にはファースト・アルバム『nightporter』をリリースと、単なる一過性プロジェクトに留まらない精力的な活動を続行中の彼ら。初披露の新曲も飛び出したこの日のステージは、そんな彼らのバンドとしての本気度が窺い知れると共に、3人の熟練プレイヤーたちによるマジカルな化学反応の凄みを身をもって体感できる、至福のひと時だった。

geek sleep sheep @ EX THEATER ROPPONGI
開演時刻の19時30分ジャスト、暗転した場内にピアノのSEが流れ出し、ステージに登場した3人。yukihiroのカウントから“Good Dream”へ流れると、百々による爽快なギター・フレーズが炸裂。たちまち虹色のアンサンブルが走り出し、場内の隅々まで眩い光を届けていく。アウトロのセッションで345がスリリングなベースプレイを披露すると、フロアの熱気はみるみる上昇。続く“Weekend Parade”では、百々と345による重層的なハーモニーが極彩色のアンサンブルに、更なる瑞々しさと輝きをプラスしていく。3人の音楽的嗜好をストレートに反映させた、シューゲイザー/グランジ直系のオルタナティヴ・サウンド。この時点で筆者はノックアウト寸前なのだけど、次の“SANPO”で完全にヤラれてしまった。鋭利でタイトなアンサンブルから突如カラフルなグルーヴが立ち上る、ダイナミックな音世界! 衝突と融合を繰り返しながらじわじわと熱量を高めていくサウンドに、心の奥底に眠る快楽のツボが容赦なく刺激されていく。

geek sleep sheep @ EX THEATER ROPPONGI
曲の合間には「yukihiroー!」「345ー!」「百々ー!」という声援が。その声の割合が同等ぐらいであることからも、スター・プレイヤーの集合体であるこのバンドの凄さがよくわかる。とはいえ個々のスキルをひけらかすような部分はなく、あくまでバンドとして三位一体のアンサンブルを紡いでいこうとする謙虚な気遣いが、3人には感じられる。そして、そこからgeek sleep sheepという名のバンドのグルーヴ感が生まれていく。中盤のパートは、そんな3人の密な絡み合いに心奪われる名演の連続だった。3人で向き合ってのイントロから、青春時代の宝物を慈しむように丁寧にプレイされたストロベリー・スウィッチブレイドのカヴァー“SINCE YESTERDAY”。業火のような音塊が鮮やかに燃え上がった“Last Scene”。345のあどけないヴォーカルとyukihiroの清冽なビートが優しく絡み合った“frame”。極限まで音数を抑えたアンサンブルから濃密な色香が立ち上がった“Teardrop”。そしてメランコリックかつエモーショナルな旋律に乗ってミクロからマクロへのドラスティックな飛翔感が描かれた“magica”――。「いらっしゃいませ。今夜はツアー・ファイナルでございます。今日は会場が広くてフロアにも余裕があるようですので、思う存分踊って帰ってください」とか「わたくし気合が入っているのか一杯一杯なのか、ここに来るまで水を一口も飲んでいません」とかいう百々の穏やかで肩肘張らないMCも、あくまで3つの音の融合体によってフロアを別世界へ引きずり込んでしまおうとする彼らのナチュラルな凄さを浮き彫りにしているような気さえした。

geek sleep sheep @ EX THEATER ROPPONGI
まだまだファースト・アルバムをリリースしたばかり、曲数も少ないということで、後半は洋楽カヴァー・コーナーからスタート。スマパンの“Zero”では百々がビリー・コーガンばりのしゃがれ声を響かせ、デイジー・チェインソーの“Love Your Money”では345が極太のベースラインを轟かせ、マイブラの“When You Sleep”ではyukihiroが胸のすくようなビートを届け、3人が共有する音楽的バックボーンへの情愛をピュアに解き放っていく。そして「まだまだこれからも続くぞという気持ちを込めて新曲をやります」という百々のMCから、なんと前日18時頃に歌詞を書き上げたばかりという新曲を初披露! yukihiroが作曲、百々が作詞を手がけ、345がリード・ヴォーカルを執るその曲は、透明な青の世界を思わせる心地よい浮遊感と陶酔感を描き出す、バンドの未来を示唆するにはこの上もない瑞々しさに溢れた楽曲だった(ちなみに曲終わりで百々の口から「“Kakurenbo”という曲です」と紹介されていた)。

geek sleep sheep @ EX THEATER ROPPONGI
345による物販紹介コーナーで、リボン付イヤーマフ、345の手書きメッセージがプリントされたウォールステッカー、ポケット付きトートバッグなどやたらハイセンスなグッズをお披露目した後は、クライマックスへ向けて猛ダッシュ。変態的なアンサンブルが遊び心たっぷりに紡がれる“GOHAN”、ストレートなロックンロールが疾走する“IMAGINATION”で鮮やかなコントラストを描き出すと、“Jesus wa gokigen naname”“Strange Circus”の連打で一気に絶頂へ。突き上がる拳と大歓声で沸き返るフロアに「5月に東京でライヴやります!」という告知を浴びせてさらなる歓喜を呼び起こしたところで、心地よいまどろみの世界へ誘うようにプレイされたのはスローテンポの“Daydream”。さらにステージ後方に満天の星空のような照明が輝く中、“hitsuji”のドリーミーな音像でフロアを優しく抱いて終幕――アンコールなしで90分、ワンマンにしては短めのステージだったけど、それでも心からの満足感を胸に会場を後にするオーディエンスの姿が、この日のステージの濃密さを何よりも物語っていた。(齋藤美穂)

セットリスト
1. Good Dream
2. Weekend parade
3. SANPO
4. SINCE YESTERDAY / Strawberry Switchblade
5. Last Scene
6. frame
7. Teardrop
8. magica
9. Zero / The Smashing Pumpkins
10. Love Your Money / Daizy Chainsaw
11. When you sleep / My Bloody Valentine
12. Kakurenbo(新曲)
13. GOHAN
14. IMAGINATION
15. Jesus wa gokigen naname
16. Strange Circus
17. Daydream
18. hitsuji
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on