クイーンのブライアン・メイ、死際のフレディ・マーキュリーの思い出を語る
2015.11.05 19:36
10月31日に名曲"ボヘミアン・ラプソディ"がリリース40周年を迎えたクイーンだが、ブライアン・メイはかつてバンドでこの曲を車で聴きながら盛り上がった頃があったことを明らかにしている。
BBCラジオの取材で"ボヘミアン・ラプソディ"について訊かれたブライアンは1992年のコメディ映画『ウェインズ・ワールド』でカーステレオで主人公たちがこの曲に合わせてヘッドバンギングをするシーンが登場することに触れて、似たようなことを自分たちもやっていたことを次のように明らかにしている。
「(主演と脚本を担当したコメディアンの)マイク・マイヤーズについては当時知らなくてね。でも、突然電話がかかってきて、『新作映画用にすごい傑作なシーンが撮れたんだけど、承認してもらえないですかね?』って訊いてきたんだ」
さらにマイヤーズは是非フレディ・マーキュリーにも観てほしいと要請したが、当時フレディはすでに病床で死際にあったことをブライアンは説明している。フレディはこの映画の制作中の1991年11月にエイズによる肺炎で息を引き取ることになり、映画は翌92年2月に公開された。
「フレディのところに持って行ったんだけど、フレディは当時、すっかり具合が悪くなっててね。もうベッドから出られなくなってたんだけど……映像を持って行って、観せてあげたらものすごく気に入ったんだよ。妙なもんで、あのユーモアはぼくたちのユーモアとかなり近いものがあったんだ。ぼくたちもああいうことを車の中でやったもんだからね、自分たちのトラックに合わせてどんどん飛び跳ねるってね!」
結果的にこの映画がきっかけになって、この曲はアメリカで16年ぶりにチャートをにぎわすことになり、アメリカでのクイーン人気の復活の呼び水にもなった。クイーンは1985年に当時人種差別政策をしいて国連の文化的ボイコットの対象になっていた南アフリカで公演を行い大きな批判を浴びたことやフレディがその後健康を害してツアーがままならなくなったことから、アメリカでの人気がすっかり衰えてしまっていた時期があったが、この頃の状況についてブライアンは次のように振り返っている。
「本当にすごい皮肉な状況だったよね。というのは、ぼくたちがアメリカを完全制圧して、毎年ツアーを行っていた時期もあったわけだから。このままなにもおかしくなることはありえないと思っていたのに、ぼくたちはアメリカをすっぽり失うことになったんだ。さまざまな原因があって、それはもう今じゃ歴史になってるけど。フレディはすごくブラック・ユーモアがきいててね、こう言ってたもんだよ、『アメリカを取り戻すにはさしずめぼくがまず死なないと無理なようだね』ってね。で、ある意味で、まさにそういうことになったんだよ。そして、そのきっかけになったのは、どこからともなく登場した映画『ウェインズ・ワールド』だったんだ」
なお、ブライアンは今でも"ボヘミアン・ラプソディ"を聴き飽きることはなく、車中のラジオでかかることがあれば必ず音量を上げると語っているが、「さすがにエア・ギターはやらないね。ちょっとそれには歳取り過ぎたかな」と説明している。