「この1年半くらいでわたしのトランスジェンダーとしてのアイデンティティーは自分でも問いかけながら折り合いをつけてきたものから、突然、大前面に出てくるものになったの。今、自分は完全な人格を新しく獲得するべきなんだって」
「ピッチフォーク」の取材に対してそう説明したギャヴィンは近年オリジナルのアナログ・シンセサイザーの開発制作で知られている。
その関係でLCDサウンドシステムを率いるジェームス・マーフィーが創立したDFAレコーズの契約アーティストとなり、シンセサイザーやエレクトロニクスの技術者としても活躍している。
2010年発表の『ディス・イズ・ハプニング』から正式にLCDのメンバーとなったが、11年にバンドはいったん解散。しかし、昨年LCDが再結成し、ツアーとレコーディングを行っている。その後しばらく自分の時間が出来た際、自分ととことん向き合い、現在の心境に至ったという。
女性的な出で立ちで撮影された最新の自身の写真についてギャヴィンは「自分をどう表現するかということにも、女性的な言葉を使うことにも違和感は感じていないの。でもこれまでと同じ名前を使っているわ」と話す。
現在43歳だというギャヴィンはこれまで10年に一度の割合で、女性としての自分のアイデンティティーを表明しようとしてきたと振り返り、子供の頃、思春期の頃、20代、30代、40代とそういう時期があったと説明しているが、「今回がこれまでとは違うのは今わたしが自分の人生でも、すごく安定した時期を迎えているからなの」と語っている。
「昨年はびっちりLCDサウンドシステムと仕事をしてきて、その後でまとまった休みを取って、自分と向き合えたことがわたしにはすごく重要なことだったのね。今回のことはその中から出てきた結論で、カミングアウトっていう言い方は、個人的には言葉としてあまり好きじゃないんだけど、今回のことはもうそうとしか言いようのないことなのよね」