星野源が追い込まれた「産後うつ」の母親に手を差し伸べる!『コウノドリ』第3話をレポ

TBS系ドラマ『コウノドリ』、第3話は派手なファッションが目を引く山崎麗子(川栄李奈)と友和(喜矢武豊/ゴールデンボンバー)夫妻が登場。鴻鳥サクラ(綾野剛)や四宮春樹(星野源)らが勤務するペルソナ総合医療センターの産婦人科を受診し、麗子は心臓病を患っているため無痛分娩で出産することを勧められる。素直で真っ直ぐな性格からか、「妊婦は体を冷やすことは厳禁だって母さんに言われたんす!」と雪だるまのように何枚も重ね着をしていたり、「妊婦が火事を見たらアザのある赤ちゃんが生まれるって!」などと、人の意見や迷信にひどく左右されている様子。しかも、いざ出産当日になり「やっぱり自然分娩で産みたい」と言い出す始末。今度は友達に「無痛分娩で産んだらおっぱいが出ない」とか「自然分娩で産んだ母親の愛情にはかなわない」などと言われたのだとか。しかし鴻鳥先生は「僕は産科医なのでお友達のデタラメ話のせいで命を危険に晒すことはできません」とキッパリ。腑に落ちない顔の麗子だったが、夫の「痛みがなきゃ愛情が生まれないって言うなら、俺たち男はどうやって父親になればいいんだよ?」という言葉に「そっか!」と納得。若いけれど必死に子供の親になろうとしている夫婦をほほえましく演じていた。

そして今回は母親の「産後うつ」の問題にもリアルに迫る。前回も登場した、もともとキャリアウーマンで出産後に早く仕事に復帰したいと焦る佐野彩加(高橋メアリージュン)と、自称イクメンだが仕事が忙しくなかなか家族と向き合えていない夫の康孝(ナオト・インティライミ)。彩加は赤ちゃんが泣き叫ぶ散らかった部屋で呆然としている。実母には「仕事はあんたの代わりはおる、でも母親の代わりはおらんで」などと言われ、久しぶりに会った会社の後輩には自分が立ち上げたプロジェクトのリーダーが他の人に決まったことを知らされる。追い詰められて行き場を失った彩加は病院の受付に赤ちゃんを残して、屋上に向かう――。

産科医たちは彩加の異変に気付いていないわけではなかった。助産師の小松留美子(吉田羊)は心配のあまり「何かあったら連絡して」と個人的な連絡先を彼女に渡そうとするが、他の医師たちにルール違反だと咎められる。鴻鳥先生だって「大丈夫、大丈夫」と繰り返す彩加に、ある母親の姿を思い出していた。産後うつで自殺してしまった三浦芽美(松本穂香)だ。「大丈夫って言われても僕に踏み込む勇気があれば」と彼女を救えなかったことを後悔していた。そんな姿を見て四宮先生は「いい加減にしろ。前を向けよ。お前が大丈夫じゃないんだよ」と側で声をかける。

屋上にいる彩加を見つけたのは四宮先生だった。「先生に何がわかるのよ?」という彼女に「俺にあなたの気持ちはわからない。今あなたを引き止めているのは俺のワガママです」と手を差し伸べる。そこで「お母さんがいないと赤ちゃんが生きていけないよ」とか「みんなが悲しむよ」なんてありがちな言葉ではなくて、四宮先生はこう言ったのだ。「まだ治療の可能性がある患者を放っておくことはできない」と。彩加は「治療」という言葉にハッとし、四宮先生の手を掴んだ。その光景を見た時の鴻鳥先生の泣きそうな顔、院内に戻った彩加を助産師・小松が抱きしめながら「何もしてあげられなくてごめんね」と言った時、視聴者もホッとして号泣だったことだろう。「今あなたに必要なのは専門医の助けです」という四宮先生の言葉は「子供をかわいいと思えない自分は母親失格だ」と不安に思っていた彼女を救った。それにしても今回の彩加に接する時の星野源の台詞回し、まるで弾き語りのバラードを聴いているような静けさと優しさを帯びた心地好さだった。

四宮先生は彩加を救うことで、鴻鳥先生の芽美への後悔を乗り越えて欲しいと思っていたのだろう。その気持ちに気付いた鴻鳥先生が「四宮、ありがとう」と言うと「……なんのことだ?」とクールに返していた。対立しながらも理解し合い、助け合う、彼らの複雑な友情もまた『コウノドリ』の見どころ。

というわけで非常に見どころ満載の第3話だったが、彩加の夫の台詞は産後の妻に言っちゃいけない台詞のオンパレードだったので、ワースト1位を最後に発表する。
「なんでそんなにイライラしてんの。お前、出産してから性格変わったな」
ギリギリのところにいる母親を崖から突き落とす、この言葉。見ればわかるでしょ、性格じゃなくて人生が変わってんの! 彩加の代わりに、そう心の中で叫びながら観た人、きっとたくさんいたことだろう。(上野三樹)

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