SEKAI NO OWARIが『SONGS』で語った2枚のニューアルバムを彩った愛あるダークネスについて

SEKAI NO OWARIが、NHK『SONGS』の3月16日放送回に登場した。番組はセカオワの4人と同番組の責任者・大泉洋の対談、そして最新アルバム『Eye』、『Lip』の収録曲である“LOVE SONG”、“イルミネーション”のスタジオライブで構成された。

セカオワ4年ぶりのアルバム『Eye』、『Lip』は、メンバーの出産・結婚などを挟み、音楽家としてもいち人間としても、新たなステージに進んだタイミングでリリースされた作品だ。ということで、大泉との対談のテーマは「大人」。ポップ(=テーマパークのような空間演出)とダーク(=社会性のあるストレートな歌詞)の二面性を掘り下げたり、Fukase(Vo・G)の過去の発言をピックアップしたりしながら、彼らの魅力に迫っていった。

特に印象的だったのは、どうしてダークな歌詞を書くのか?という質問に対し、Fukaseが「正直な大人でありたいから」と答えていたこと。それから、“LOVE SONG”制作時の「Fukaseが夜中衝動に駆られて書いた歌詞を後日書き直そうとしたが、メンバーが初稿の歌詞を採用した」、「Fukaseはその歌詞を説教臭いのでは?と心配していたが、それに対しメンバーが『説教じゃないよ、愛情を感じるよ』と返した」というエピソード。大人になるとよく「あいつ丸くなったな~」という言い方をするし、世間的に「丸くなること=大人になること」というふんわりした認識があるように思うが、尖ったまま誰かを想うこと、愛を歌うことだって不可能じゃない。“LOVE SONG”はまさにそういう曲だし、2番まで含めたフル尺で聴けたことも嬉しかった。

番組の後半では、セカオワハウス(※セカオワ立ち上げ当初より、メンバーやスタッフが共同生活を行っている場所)のことが話題に上がった。例えば、Saori(Piano)がセカオワハウスに帰ってきたときには、他のメンバーが彼女の子どもの面倒を見るなど、各々のライフスタイルの変化に伴い、セカオワハウスの在り方は変容を遂げているよう。そんな話の流れを受け “イルミネーション”は、「自分らしく生きる」、「相手のありのままを受け入れる」ことを表現した曲なのだと紹介されたのだった。

「一生懸命、真摯に向き合う」が今の自分のテーマなのだとFukaseが語っていたように、今回の放送を通じて浮き彫りになったのは、かつての自分たちのような若者たちとも、あの頃から変化していった自分たち自身とも、柔軟に、誠実に向き合おうとする彼らの姿だった。『Eye』、『Lip』の根底に流れる温かな血液のようなものの由来も、そういうところにあるように思う。(蜂須賀ちなみ)
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