初舞台で彼女たちは高い期待度に見事応えてみせた。いきなり“Evolve”のカードを切ると、そのあとはフロアの誰も聴いたことのない楽曲たちばかりながら、重厚なラウドから猛烈な2ビートによるスピード感、デジタルなダンスナンバーまで千変万化のサウンドと、それを織り上げる個々のスキルフルな演奏で盛り上げ圧倒。可憐かつ凛々しいビジュアルや演奏中の所作、個々のキャラクターが垣間見えるMCでも魅了した。
ライブで披露された中から、デビューミニアルバム『Forbidden Fruit -1st piece-』には5曲を収録。ハードな曲調や、バイオリンとギターがかわるがわるリードを取り、間断なく攻めたてる疾走感と昂揚、聴き手を力強く導き鼓舞するようなリリックといった要素を軸に、“螺旋回廊”のオルタナ/プログレ的アプローチや、ヒロイックな導入からダンスチューンへ至る“This Moment”など、容易にカテゴライズできない懐の深さも。名刺代わりであると同時に、大いなる可能性の片鱗も随所に見て取れる1枚に仕上がった。
本作が「1st piece」と銘打たれた以上、「2nd」以降も控えているはずだ。磨き抜いてきた個性と才能を交わし合う5人の前途には今、可能性しかない。
文=風間大洋
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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