思想的な楽曲と肉体的なライブでリスナーを虜にするCLAN QUEEN。Zepp公演を含む2ndツアーは即完し、さらに勢いづく中でリリースするニューアルバムが『NEBULA』だ。ハイパーポップ的な“インベイダー”にダークファンタジー調の“禁断の森”、抑制の利いたトラックがバンドサウンドの激流になだれ込む“Apophenia”などジャンルの振り幅を広げ、彼らの音楽的ポテンシャルの高さを物語る意欲作である。「自分らしさ」は、最初から存在しないものなのかなと思ってて。
でも、汚れとか傷は他人が真似できるものじゃないから、それはどうやっても自分らしさになってしまう
今作のテーマのひとつは「自分らしさ」。ソングライティングを担うAOiはもちろん、曲に命を吹き込むボーカリストのyowaもベーシスト兼映像監督のマイもそれぞれの角度から向き合わざるを得ないテーマである。自分らしさを見つめることは、自分の深淵を覗くことに近い。その絶望的に孤独な旅路の果てで3人が掘り当てたひとつの答えがこんなにも豊かな音楽として広がっているということは、バンドであることの希望そのものであり、3人の結束力の強さの証明でもある。冷徹な世界観とは裏腹にバンドの体温はどこまでも熱いのが、CLAN QUEENなのだ。
インタビュー=畑雄介 撮影=Takeshi Yao
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より抜粋)
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