ビルボード誌などが伝えているところによると、マーティン・スコセッシ監督が手掛けているジョージ・ハリスンの伝記映画が完成に近づいているという。
タイトルは『Living in the Material World : George Harrison』といって、ビートルズ以前、ビートルズ時代、そしてビートルズ以後のジョージの半生を追ったものになるという。
「ジョージの音楽はぼくにはすごく大切なものなんだよ」とスコセッシはビルボードに語っている。「だから、ジョージがアーティストとして辿った旅についてぼくもすごく興味があったんだ。この映画はひとつの探検のようなものでね。まあ、どうなるかわからないけど、とにかく感じたままに手探りで進んでいるという状態だよ」。
また、ジョージはスピリチュアルな探求を試みたことでも知られているが、ジョージのそうした側面からもスコセッシは大きな影響を受けているといて、「そのテーマがぼくの念頭から離れたことは一度もないよ」とスコセッシは語っている。
「自分の住んでいる世界が物質的であればあるほど、人は平穏さを希求するようになるんだよ。それと、周りの物質的なものに惑わされなくなるような必要性が生まれてくるんだよね」
ジョージとスコセッシは個人的な付き合いがあったことでも知られていて、それだけに「この作品は気紛れとかでは引き受けられなかったものなんだ」とスコセッシは語っている。「いろんな逡巡と熟慮があったうえでやっている作品なんだよ」。
今のところ、スコセッシの見込みでは11年の公開を考えていて、作品の3分の2は出来上がっているという。
さらにジョージは大量の映像やプライベート・レコーディングを残していて、こうした素材をふんだんに使うことで、年代記的ではない試みになっているとスコセッシは説明する。「究極的にはジョージの音楽の発展が物語をひもといていくような作品にしたいんだ。それとジョージが撮ったさまざまなイメージもね。この映像がかなりいろいろ語ってくれるんだよ」とスコセッシは説明している。
ボブ・ディランの『ノー・ディレクション・ホーム』やローリング・ストーンズの『シャイン・ア・ライト』など、ロック映画の傑作も撮ってきたスコセッシだが、神学を修めただけあってスピリチュアルな作品を折に触れて撮ることでも知られている。ひょっとしたら名作『クンドゥン』のような幻想的な作品になるのかもしれない。