ザ・フーのピート・タウンゼントはファン待望の回想録の出版にようやくこぎつけたことが明らかになった。タイトルは『Who He?』といってイギリスの大手ハーパーコリンズから来年の秋に刊行される。
もともとピートは自身の回想録に1990年代から取りかかっていたとされていて、特にそのことが取り沙汰されたのは2003年にピートがインターネットの児童ポルノ・サイトへアクセスしていたことが発覚して警察に厳重注意されるという事件に及んだ時。この時、ピートは自伝執筆の取材の一環だったと事件後発表した声明文で説明していた。
「ぼくは幼少期の自伝にここ7年ほどとりかかってきています」とピートはその声明文で説明している。「ぼくは5歳から6歳半の間、当時精神を病んでいた母方の祖母に預けられていた間に性的に虐待を受けていたのではないかと考えています。はっきりとはなにをされていたのか思い出せないのですが、自分の創作にはそうした経験がおぞましいイメージとなって蘇ってくる傾向があって、特に『トミー』がそうした意味で顕著です。ぼくがこれまでネットで見聞きしたことの一部は今年中に刊行するぼくの本の参考にさせていただいています」。
その後、回想録は棚上げになっていたのだが、ピートによれば、自身の活動もえんえんと続いているので、なかなか執筆がそこまで追いつかなかったとのこと。自身のクリエイティヴやプロとしての生活はまだまだ活発なので、引退でもしない限り回想録など書ききれないし、そもそもすでに作家としても知られているピートが「書く」ために「引退する」というのも、どこか矛盾を孕んでいるとピートは説明し、それだったらもう腹を括って出版してしまうことにしたとのことだ。
なお、昨年はスーパーボウルのハーフタイム・ショーや『四重人格』のライブを行ったザ・フーだが、今年は特に活動を予定していない。ボーカルのロジャー・ダルトリーはソロ・ツアーを敢行することを発表していて、そこで『トミー』の完全ライブを試みるとしている。一方、ピートは昨年の時点で「ツアーについては現時点では疲れたし、執筆に集中したい」と語っていた。