個人的今月のBGM
2010.01.08 23:45
原稿を書くとき、編集部員たちはヘッドフォンでそれぞれ音楽を聴いている。
といっても、みんなが何を聴いているのかまったく知らない。だけど、自分に関して言わせてもらえば、原稿の対象とは関係ないものを聴いてることが多い。
で、そんなわたくしが次号の原稿を書いてる間ずっと聴いてたのがこれ。
秋元康作詞家生活20周年記念ボックス。
峯田和伸のインタビューの際、アイドルの話で盛り上がって、「久しぶりに聴こう、おニャン子」なんて感じで聴き始めたんだけど、いつの間にか2ボックス併せて全6枚、ぶっ通しで聴いてしまった。
で、思ったのは、どの曲もびっくりするくらい風化してないってこと。
それはもう、”セーラー服を脱がさないで”も”バレンタイン・キッス”も、あるいは”川の流れのように”のようなスタンダードはもちろん、一切合財がいまだもってキラ星のように輝いている。
いやいや、といっても、音的には当然古くなってますよ? 「ポケベルが鳴らなくて」と言われても、そりゃ鳴らないよ、ポケベルなんてもうないよ、って話で。
だけど、「そのとき」「その歌手に」「何を」歌わせるのか――と考えたときの、「そのとき」の部分に向けられた視線、要はその時代における、そのシンガーへの批評眼の有効性が一切目減りしてない。
ていうか、むしろ、今振り返るからこそ、その的確さが際立って感じられたりもする。
”なんてったってアイドル”なんていう究極のメタ発想もその後のKYON2の歩みを見ればこそ、あらためてすんごいなと思えてしまうわけで。 写真は、ソニーミュージックの音源を集めた「市ヶ谷編」ですが、ポニーキャニオンの音源を集めた「虎ノ門編」もあります。両方とも中古レコード屋でたまに見かけます。お見かけの際にはぜひ。(小柳)