でんぱ組.incのライブに泣く

1月16日にリリースされたでんぱ組.incのニューシングルの1曲目“W.W.D”は、6人のメンバーたちそれぞれのいじめや引きこもりや挫折の経験、そこから秋葉原から世界を目指すアイドルとなった物語が、これまでのアイドルの楽曲では聴いたことのないような生々しくリアルな言葉で歌われた衝撃的な曲である。
そして今日(もう昨晩か)、Zepp Tokyoで観た彼女たちの初の全国ツアーのファイナル公演は、さらに衝撃的で、そして感動的なものだった。

2曲目からいきなりビースティ・ボーイズ“Sabotage”のカヴァーをぶちかまし、凄まじくエネルギッシュに突き進んでいったライブの後半。
いよいよ“W.W.D”を披露する前に、彼女たちはステージ上をほぼ真っ暗にして、僅かな明かりの下でひとりずつ自分の言葉でこの楽曲で歌われているそれぞれの過去を、自分の言葉で歌詞よりもさらに具体的に、時には涙ながらに語っていった。
それはステージ上での彼女たちのエネルギッシュな表現とは真逆にある陰の部分であり、普通ならそんなことをしたらライブのテンションが下がってしまうはずだが、彼女たちのアイドルとしてのエネルギーの核にはその陰の部分があるわけで、それをありのまま告白した上で雪崩れ込んだ”W.W.D”以降、ライブはさらに振り切れた彼女たちにしか出せないパワーを持つものになっていった。
いろいろなタイプのアイドルが登場している現在だが、自分たちの「欠けている部分」「深く傷を負っている部分」「あまり人に言いたくない部分」に正面から向き合い、しかもそれをありのまま曝け出しながらステージに立つ力にしている彼女たちのようなアイドルはもちろんいない。
折れないタフな芯を持ち、人々の心を強く打つアイドルとしてでんぱ組.incは、これから特別な存在になっていくに違いない。

こちらが“W.W.D”のミュージック・ビデオ。


(古河)
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