キャリアを総括するように満遍なくピックアップされたライブだった。
言うまでもなく最高だった。
最高だったのだが、バリエーション豊かな、と言ってしまうにはあまりに多くのトライアルがぶち込まれた楽曲を浴びていると、彼らの来た道について思い出されることがたくさんあった。
ひと言で言うなら、4人の歩みとは、彼らの前にはナシとされていたことをひとつひとつアリに変えてきた歴史、ということになるだろう。
それはもう気が遠くなるほどに、ひとつひとつのナシをアリに変えて来た歩み、である。
シャープなギターのカッティング、UKロックに根ざしたメロディ、粘着的なグルーヴ、オルタナティブでラフな音像。
そんなひとつひとつの要素は、今でこそアレキの代名詞的なもので、文句なしにカッコいいものではあるが、彼らがシーンに登場してきた時は、あまりに「尖って」いるものだったし、その道はまさに獣道のようなものだったと思う。
だが、4人はずっと今に至るまでひたすらシャープな音を磨いてきたし、メロディの巨大さをより巨大に育て上げてきた。
戦い方を変えずに、その曲に込められたロマン(どうしてもこの言葉以外に思いつかない)に賭ける凄まじいライブをやり続けて、そうやって目の前の景色を変えてきた。
ヤンチャで破天荒なロックンロールだらけの今日のようなセトリを一気に浴びると、そんな歩みを思い返すことになる。
感動しながらもセンチメンタルな気分にもなってくるのはそのせいなのだと思う。
そして、2時間半、[Alexandros]は本当にカッコいいバンドだなあ、とアホみたいに何度も何度も考えていた。
やはりそんな孤高の姿勢こそがこのバンドの、アレキにしかない強さなのだ。
音楽がカッコよく、スタイルもカッコよく、バンドとしてのシルエットも最高だが、何よりその考え方と生き方こそが無二でロック的であり、潔くカッコいい、僕たちを惹きつけてやまない最強の理由なのだと思う。
どんなセットリストでも完勝してみせる説得力が今の[Alexandros]にはある。
今、4人は最強の季節のど真ん中にいる。
これからの動きが楽しみだ。
次号のJAPANでも何か書きたいと思います。
[Alexandros]、日本ガイシホールでのPremium V.I.P. Partyを観て思い返したこと
2017.07.02 21:24