9月6日ー16日まで毎年恒例のトロント映画祭が開催されてる。私も来ているのだけど、今日注目のレディー・ガガ初主演映画『アリー/ スター誕生』が北米初のプレミア上映された。舞台挨拶の段階から、レディー・ガガは感激で泣きそうになっていたのだが、上映後のQ+Aで観客がスタンディング・オベーションとなったため、感激して泣いてしまっていた(涙)。
この作品は、ガガにとって初主演の作品であるばかりか、ブラッドリー・クーパーにとっても初監督作。彼は、主演でもあり、脚本も手がけている。
上映前にガガは、開口一番「この映画が私の人生を変えた。ここに今いることを心から感謝に光栄に思う」と語った後で、「ブラッドリーは、単なる優れた映画監督という言葉では足りない。彼は、独自のビジョンと情熱と、そして自由と解放をこの映画にもたらしてくれたから。しかも、毎日セットでは、忍者のような精密さで仕事をしていた。私はこの映画のキャストを全員愛していて、この映画のおかげで家族になった。この映画を作る過程で愛が生まれた。だから、今夜この映画を観て、みんなに私達の愛を感じて欲しい」と語った。
また、「私はNY出身のただの女の子で、子供の頃から、女優になるのが夢だった。100人の人がいて99人が自分を信じてくれなくても、1人が信じてくれえばいい。そして、私には、このすば抜けた才能を持つブラッドリーが信じてくれた。彼に心から感謝している」と最初から半泣きで語っていた。
それからブラッドリー・クーパーがこの映画の監督ができると思えた瞬間は、なんとメタリカのコンサートを観た時に、監督してのビジョンが見えたからと語っていたのが面白かった。
「ヤンキー・スタジアムで、メタリカのコンサートを観た時、自分のロックスターのキャラクターをどのように捉えればいいのかが分かったんだ。僕は、ラーズ・ウルリッヒのドラムキットの真後ろからコンサートを観ていて、その視点から観た時に、ワオと感動した。自分にラーズの首の汗が見えていて、彼の息を感じているのが信じられなかった。そして、そこから観客がどのように見えるのかに感動した」と。
上映後、ガガは、会場から熱狂的なスタンディング・オーベションで感動して泣いてしまっていた。
ガガが、記者会見で言っていたのだけど、ブラッドリーと初めてのオーディションをした時に、「私が”素顔”に見せかけるメイクをしていたら、彼がメイク落としを持ってきて、私の顔からメイクを落としたの。『メイクはいらないから』と」。そのエピソードがこの作品を物語っている。というのも、ガガは、”レディー・ガガ”ではなく、素顔のありのままの姿を見せる主人公のアリーを演じているから。彼女が、ありのままの自分を信じ、受け入れることで、初めてスターになっていくという物語なのだ。それは彼女がレディー・ガガとしても発信してたメッセージがこの映画にもあることが、この作品が人々の心を打つ理由でもあると思う。
ブラッドリー演じるロック・スターのジャクソンが、自分は問題を抱えながらも、アリーの真の才能を見抜き、それを信じることで彼女を羽ばたかせるのだ。
ガガの演技力もさることながら、ブラッドリーの歌が上手いのも驚きだった。これまで披露しなかったのが不思議なくらい。もちろん、共演者がガガだったのも大きいと思うが、ステージで共演しているウィリー・ネルソンの息子さんであるルーク・ネルソンの助けが偉大だったとブラッドリーは語っていた。この映画のサントラはすべてオリジナルで、劇中でも7曲くらい使われていたが、ガガ他、マーク・ロンソン、ジェイソン・イザベルが参加して作られている。ガガの曲も、ガガではなく、アリーとして響いてくるし、ブラッドリーが演奏するロックの曲も素晴らしい。
記者会見でも、上映後のQ+Aでも、出演者が口を揃えて、「ブラッドリーのビジョンを心から信用した」と言っていたのが印象的だった。俳優として才能があることは間違いないが、監督としての才能はまだ誰にも分からないのに、誰もが、彼についていくんだ、という熱い情熱で、全員が150%の力を出してこの映画の撮影に挑んだ。とりわけ、初監督と、初主演で、お互いを助け合い、お互いから最高の才能が引き出されたのだろう。それがスクリーンからも伝わってきた。
ガガが「私のアーティスト人生において最高の経験だった」と語るこの作品、映画批評の平均点もなんと現時点では95%と超高評価だ。
https://www.rottentomatoes.com/m/a_star_is_born_2018/
日本公開は、12月21日。日本語の予告編はこちら。
『アリー/ スター誕生』の映画情報は以下。
●映画情報
『アリー/ スター誕生』
2018年12月21日(金) 全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://starisborn.jp