エリック・クラプトンのドキュメンタリー映画がとうとう日本公開。「死ぬ前に自分の目で確かめたかった」と本人が語った貴重なインタビューも掲載!

エリック・クラプトンのドキュメンタリー映画がとうとう日本公開。「死ぬ前に自分の目で確かめたかった」と本人が語った貴重なインタビューも掲載! - pic by GP Images Wireimage/TIFFpic by GP Images Wireimage/TIFF

去年トロント映画祭で世界初上映されたエリック・クラプトンのドキュメンタリー映画『エリック・クラプトン〜12章節の人生〜』が、11月23日にとうとう日本でも公開となった。

予告編はこちら。

トロント映画祭での模様は去年レポートしたが、その後、NYでも上映が行われた。すでにロッキング・オンのコレポンのページで掲載したインタビューと、NYでのインタビューを合わせて編集したものを以下に掲載する。貴重な内容になっていると思う。

エリック・クラプトンのドキュメンタリー映画がとうとう日本公開。「死ぬ前に自分の目で確かめたかった」と本人が語った貴重なインタビューも掲載! - pic by TIFFpic by TIFF

●自分の人生を観てどうでしたか?
「本当に観るのが辛かった。しかも、多くは覚えていないんだ(笑)。だけど、映画の終わりが大好きだ。人生で初めて笑顔を見せていたから」

●あなたから映画を作りたいと言い出したそうですが、その理由は?
「自分が死んでから発表したくなかったんだ(笑)。完成した映画を観て少なくとも自分の目で、大丈夫かどうか確かめておきたかった」

●観た人にどんな感想を持ってもらいたいですか?
「できるだけ多くの人に観てもらいたい。そして僕がレジェンドだったわけではなくて、すでにあったメッセージの代弁者であろうとした、ということを分かってもらえたら嬉しい」

●あなたが監督にこの作品を依頼した時は、あなたの人生においてかなり落ち込んだ時期だったということですが、この映画で何が達成できたと思いますか?
「自分では結果的にどんな作品になったのか、良く分からない。今言ったように、大半のことを覚えていないから(笑)。それに、この映画を観ていると全ては、大昔に起きた出来事のように思えた。

この映画を作ることは数年前から考えていて、そろそろ世に出す時期かなと思えた。それで作るとなると、監督として信頼できるのはリリ(・フィニー・ザナック)しかいないと思ったんだ。だから彼女にお願いした。

実際僕はこの映画のプロデューサーということになっているけど、僕がやったことはあまりないんだ。彼女に作ってもらったという感じだね。でも、今日観客のみんなと一緒に観るのはかなり辛かったよ(笑)。裸にさせられてしまった気分だったからね」

●(笑)。
「でもそれである意味良かったと言える。それでも自分をあんな風に観るのは辛かったね」

●この映画を観ていて、自分はサバイバーだと思いましたか?
「そうだね。それにまだここにいるし。もう30年間も酒を飲んでいない。僕は自分が30歳まで生きるとも思っていなかったのに、でも30年間酒を口にしていないんだ。だからそれをものすごく誇りに思う。助けてくれた友達や仲間、家族がいなかったらできなかったことだよ。みんなに感謝している」

●あなた自身がブルースを演奏するために、ブルースな人生を歩まなくてはいけなかったことについてはどう思いますか?
「それは神話だと思うけど、若い時はそれが分かっていなかった。聴いていた音楽は何かしらドラッグに関わっていたと思うし、ミュージシャン達は実際そういう人生を歩んでいて、僕の若い頃のヒーロー達はそのせいで悲劇的に死んでしまった。だから僕も、そういうものであり、そうしなくちゃいけないと思い込んでいた。

正直言って、酒を飲んで酔っ払って演奏してレコーディングをすると、その時は最高だと思うものなんだ。だけど、翌朝起きて聴き直すと最悪なんだよね。それに気付くためには大人になる必要があるし、または、実際にそれを体験して克服して初めて気付くものであったりもする。

何より僕自身が、それから随分経って初めて、そういうものなしで音楽を作る方が絶対に良いものができるし、より簡単であることに気付いたから。でも、長い間それに邪魔されていたんだ。それがライフスタイルだった。でもいつの間にか、それに音楽が乗っ取られてしまってね。

だからそれは神話でしかないと思う。実際自分の姿をそうやって見るのは奇妙だし。これまではそういう人達をたくさん見てきたけど。例えば、70年代はそれがむしろ当たり前に思えたけど、今はそうでもないと思うしね」

エリック・クラプトンのドキュメンタリー映画がとうとう日本公開。「死ぬ前に自分の目で確かめたかった」と本人が語った貴重なインタビューも掲載! - pic by TIFFpic by TIFF

●この映画にはあなたが覚えていない時期も描かれていると言っていましたが、初めて観た時どう思いましたか?
「もちろんドラマチックなシーンは観るのが辛かったよ。僕は自分がコカインを鼻から吸引しているのを誰かが撮影しているなんて、全く知らなかったから(笑)。だからそれがまず思い切りショッキングだった。僕の右隣に座っている人が誰なのかいまだに思い出せないし。だけど、自分がそういうことをしているのを観るのは、またそのせいで他の人も巻き添えにしたのを観るのは……..中にはまだ生きている人もいて、僕の親友で、いまだに仲が良いけど….…。

この映画と物語の素晴らしいところは、僕がそれを乗り越えたということ。そして、友達の中から何人かに、その時の貸しを少しは返すことができたこと。それに、映画はハッピー・エンディングだからね。ただ、観るのが最も辛かったシーンは、最も興味深い部分でもあったと思う。僕があんな場所まで行ってしまったこと、それでもそれをなんとか乗り越えたこと。そして、今の自分の場所にまで辿り着けたことだったりがね」

●この映画はB.B.キングに始まり、B.B.キングに終わります。彼の存在について語っていただけますか?
「BBには60年代に会って、すぐに友達になったんだ。その後も頻繁に会って、さらに良い友達になっていった。共演もたくさんした。彼は観る度に、どんどん深い人間になっていったよ。でも、亡くなる前はすごく辛かったね。彼が経済的な問題を抱えているのを知っていたし、それをどうやって助けてあげればいいのか分からなかったから。

亡くなってからはさらにその余波で、彼との関与が難しくなったんだ。でも、僕はとにかく彼の音楽に惹かれたわけで、彼が実は一番の人だということも当初は気付いてもいなかった。彼の初期のレコードで彼が歌っているのを聴くといまだにものすごくパワフルだと思えるし、太いストリングスでギターを弾き、音を歪めたりするのを聴くと特にそう思うね。彼は、スタイルや洗練性、深さ、全てを完璧にマスターしていた。彼を知ることができて、共演できて、光栄だったよ」

●最近ギターを弾く子供達がすっかり減っています。どう思いますか?
「そうなの? そんなに状況が悪いとは知らなかった(笑)。僕は最新情報には疎いからね。だからギターの未来がどうなるのか分からないなあ。でも、何事も自然の成り行きというものがあって、行くべき場所に辿り着くんだと思うよ。それに僕の子供達はクラッシック・ロックしか聴いてないしね。

でもそれは僕が子供達に聴かせるのがそれだからかもしれないけど。子供達がお腹にいる時から聴かせていたんだ。洗脳したみたいないものだね(笑)。僕が聴かせる曲には常にギターがあったし、またはソロの楽器や歌があった。それと、僕が音楽について信じているのは、どんな曲でも素晴らしいということ。そう思えないような曲ですらね。どんな曲だって素晴らしいんだよ」

●でもギターの売り上げは下がって、楽器店も破産寸前です。
「ギターはもう終ったのかもね」

監督:「エリックは9歳の時に、“アンクル・マック”(子供向けラジオ番組)がブルースをかけていたことがきっかけでギターを知り、ギターを弾くようになった。それは、ギターが彼を感動させたからだ。だからもし今ギターの売り上げが減っているんだとしたら、人を感動させるようなギターを弾いている人がいないってことなんじゃないかしら? それが理由で、ロックンロールやブルースが今最も人気のあるジャンルではないのかもしれないわ」

●あなたは引退を時々におわせますが、いまだに考えているのですか?
「考えてるよ」

●またはブルースマンのように、ステージに自分の足で上がれる限りはステージに立ち続けたいと思うほうですか?
「それも思う。だから両方だね(笑)。『あと4回ライブをやったらもう辞める』と今は思っている。だけど、それは僕が17歳の時から言い続けていることでもあるんだよ(笑)。この映画の中でもそれが描かれているけどね。僕がもう辞めると言って、辞めるなと説得されるシーンがある。それは僕が17歳の時だった。

でも去年気付いたんだけど、僕は演奏も何もかも辞めたとしても、音楽を聴き続けてさえいれば生き続けられるんだ。だけど仕事でステージで演奏したり、スタジオで演奏したりしている時は他の音楽をまったく聴かなくなる。なぜなのかは分からないけど、きっと邪魔なんだと思う。

だから、その時に音楽シーンがどうなっているのかまったく目に入らなくなって、自分のやっていることにだけに集中してしまうのさ。そんなわけで、色んなことを何度も見逃してきた。後からそれに追い付くこともあれば、遅れてしまうこともある。

でも、それって何か問題なんだろうか、と思ったりもするよ。まあとにかく言いたいことは、音楽を聴くのは大好きだということ。それからステージであれ、どこであれ音楽を演奏するのは大好きだ。だからつまり、その場がどこなのか、ということだけが問題なんだ」

●あなたは長年カメラやジャーナリストに追いかけられていますが、今回映画で若い頃の発言などを観て、「あんなこと言わなければ良かった」と思うシーンはありましたか?
「当たり前だよ。全部だよ(笑)!とりわけ、酒を飲むのを止めるところまではね。僕が言ったことは、すべてたわごとだ。それからインタビューを受けている時の僕はいつも『そんな質問するなよ』って顔をしていて、それを観るのもかなり辛い。

若い頃は自分は何でも分かっている、というような傲慢さがある。だけど今、年を取って気付いたのは、自分は何も分かっちゃいないってことだ。だから、若い頃の自分の傲慢な態度を観るのは辛いね」

●あなたが感動し影響を与えたギタリストと言えば?
「そのリストは長くなるなあ。今でも活躍している仲間では、ジミー・ヴォーンに、ゲイリー・クラーク・ジュニア、ロバート・クレイ。亡くなった人では、誰よりロバート・ジョンソン、フレディ・キング、B.B.キング、アルバート・キング。その他、スティーヴ・クロッパーとか無名の人達の中にも素晴らしいプレイヤーがたくさんいるよ」

●自分が書いた曲の中で最も気に入っている曲は?
「それは、妻のために書いた”ビリーヴ・イン・ライフ“だね。『レプタイル』に収録されている。ツアーに行く度にその曲を練習するんだけど、ステージで演奏できるくらい完璧な演奏ができないんだ。恥ずかしいけど。でもその曲が、僕が書いた曲の中で一番好きな曲だ」
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

最新ブログ

フォローする