本日発売となったサカナクションの映像作品。今年3月16日の東京ドームシティホールでのライヴが収録されている。この「SAKANATRIBE
2014」、僕は1月23日のと3月11日、どっちもZepp
Tokyoでのライヴを観た。同じツアーの、最初と最終盤だ。全然違った。まるで生まれた生き物がいろんな栄養を吸って、いろんな関係性を育み、大きく成長していくように、サカナクションの音楽、そしてライヴにおける表現は変化していた。そう、進化というよりも成長。この作品に収められている映像は、その成長の極致を正確に記録している。
「TEAM SAKANACTION
Edition」というヴァージョンは、山口一郎がステージ上でも言っているように、普通は「裏方」と呼ばれる音響や映像、その他大勢のスタッフもサカナクションの一員であり、その表現においてそれぞれ決定的な役割を担っているということを、そのまま表現している。もちろん、その「サカナクションの一員」には、それを観て、感じている観客も含まれるし、場合によっては会場の鳴らす反響や残響音も含まれる。そのすべてが絡みあい、組み合わさって、「サカナクション」のサウンドは生まれる。だから、ツアーを通してチーム・サカナクションが有機的な運動体になっていけばいくほど、音楽は豊かに、ライヴはドラマティックに成長していくのだ。たくさんの
「個」が集まり、ひとつのものに向かってだんだんと足並みを揃え、スクラムを組み、寄り添っていく。まさにこれは「SAKANATRIBE」だ。
冒頭の“サンプル”、最初はステージ上の生音だけの状態から始まり、それが徐々にPAを通り、会場の壁に跳ね返り、「サカナクション」の音になっていく。その驚きのオープニングが、ある意味このライヴのすべてだ。考えてみれば当たり前のこと、でも今の音楽が置き去りにしているかもしれないこと。それをサカナクションは作品という形で明らかにしていく。それは音楽の原点を取り戻す試みでもあり、同時に、音楽の未来を切り開く挑戦でもある。だから、これを観終わって最初に出てきた感想が「音楽っておもしれーなあ」という単純なものだったのは必然なのだ(僕がバカなだけだという可能性は置いておいて)。だっておもしろいじゃん、こうやって「音楽」そのものをごろっと見せつけられるような体験なんて。