12月3日、クリープハイプのニューアルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』発売。リリースまで、このブログで毎日1曲ずつ、レビューをしていきます。
リリースまで3日、10曲目は“社会の窓と同じ構成“です。
■このアルバム、濃いから。この曲は水割りの水みたいな感じですね(尾崎世界観)
この曲、もともとは全然違う仮タイトルがついていて、《社会の窓と同じ構成》ってなんかおもろいこと歌ってんなーと思ってたら、それが正式な曲名になっていてビビった。
『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』の中で唯一と言っていい怒り撒き散らし曲、なのだが、じゃあこの曲の尾崎は何に対して怒って文句を垂れているのかといえば、よくわからない。何しろサビが
《しらねーしらねーしらねーしらねー
しらねーしらねーしらねーよそれ》
である。簡単にいうと、中身がない。
もちろん曲が進んでいくとこれはこういうことなんだろうな、とか、これはあれに対して言ってるんだろうな、とか、思い当たる節がなくもないのだが、全体として「今何が何でもこれを言いたい」という、それこそ”社会の窓“みたいなテーマがはっきりあるわけではない。すごく簡単にいうと、これは「こういう曲のフリ」をした曲なのだ。とりあえず言いたいこと言って、叫んで、それだけじゃなアレだからセルフつっこみをして《余計なお世話だよ馬鹿》と、そういうことなのである。上の発言で尾崎が言っている「水割りの水」というのはそういう意味だ。
こういう曲が「水割りの水」になること自体、今までのクリープハイプでは考えられなかった。むしろ、こっちが本筋で、そうじゃない曲はどこか遠慮がちにアルバムの中にいたように思う。それががらっと逆転し、しかもこうやって毒づく自分を相対化できている、今のクリープハイプの状態がこの曲にははっきりと表れている。
かといって、やっつけで作られているかというともちろんそんなことはなくて、歌詞同様にアレンジもかなり自由奔放というか、遊んでいる。ギターリフを聴いているだけで、これはライヴで盛り上がるだろうなと思う。アルバムのクライマックスに向けてほっと一息、そんな曲だからこそ、演奏しているメンバーも楽しそうだ。
明日はタイトルのない11曲目について書きます。
クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その10:社会の窓と同じ構成
2014.11.30 19:00