シャムキャッツの“MODELS”は2014年の“ラブリー”なんじゃないのか
2014.01.15 14:11
とりあえず、このリリックビデオを観てください。
真冬の高速を疾走する古いベンツ、iPadの画面を流れる文字、風になびく髪、どこまでも散文的で日常的な歌詞を軽やかにホップさせるカジュアルなファンクネス。僕と彼女の日々がとりとめもなく描かれていくなかで、最後には「ここじゃないところへ引っ越すのもいいねと話をする」と、ささやかな希望と期待を胸にベンツはまっすぐ走り去っていく。
別に大それた希望とか、世界が丸ごとひっくり返るような大転換とかそういうものはどこにもないけれど、つつがない毎日はそれなりに美しいし満たされているし、その美しさを見つめることは物語になるし、その美しさを信じるかぎり明日は今日よりちょっとはよくなっているだろうという、言葉にすると途端に胡散臭くなるがまんざら悪くもない、というよりも世界っつうもんはできればそうあってほしい(あ、だから“MODELS”ってタイトルだったりして)という気分がこの曲を貫いていて、その楽観的で確信的な態度は今から20年前に小沢健二が“ラブリー”で歌ったムードに通じていると思う。
あ、1月29日発売のタワーレコード限定シングル、表題曲以外の2曲もいいんですが、それについてもどこかで書きたいと思います。