「平匡さんが一番好き」。
契約結婚という前提があるからこそ、ためらいもなく言葉にしたみくり(新垣結衣)。恋愛感情が込められているわけではないから、その言葉はごくナチュラルで打算がない。それゆえに、「(言葉の)浸透力がハンパない」と、初めてと言っていいほどの清々しい笑顔を見せた津崎(星野源)。見所の多い、大きく前進した、かと思わせる第3話だった。
旦那の浮気に悩まされているみくりの親友、安恵(真野恵里菜)や、アラフィフでいまだ独身であることの煩わしさを感じている叔母、百合(石田ゆり子)など、「結婚」はするにせよしないにせよ、様々な形で問題をつきつけてくるものだということを端的に描いた前半。そこで改めて、気持ちやプロセスをすっ飛ばして、「結婚」というゴールを形だけ先に達成させてしまった契約上の「夫婦」という設定が、視聴者それぞれに「結婚」というものを考えさせる機能として働いているのだと気づかされる。
津崎の会社の同僚である風見(大谷亮平)がみくりへのアプローチを開始したり、みくりも風見のことを津崎に楽しそうに話したりして、ふたりの「夫婦生活」は依然穏やかではない。というか、なぜ心が「穏やかでない」のか、その理由に津崎はたどりつきつつある。その過程がとても丁寧に、かつテンポよく描かれているのがいい。急がないけど間延びもしない。コミカルにもどかしさを感じさせながら、微妙な心情の変化をしっかりと表現している。
みくりに(恋愛感情からの言葉ではないものの)「好き」と言われ、契約上の雇用主と従業員という関係性ながら、ようやく津崎は、ふたりで生活を営んでいくことの喜びをつかみ始めた、のだが、やはり今回も、そんなほっこりした気持ちでは終わらせてくれなかった。次回は津崎と風見でみくりをシェア? また来週が待ち遠しい。(杉浦美恵)