『逃げ恥』最終話……最後まで「ムズキュン」をありがとう! 今週もレポートします

『逃げ恥』最終話……最後まで「ムズキュン」をありがとう! 今週もレポートします - (C)TBS(C)TBS

『逃げ恥』、ついに最終話が終わってしまいましたね。寂しいけど、予想以上の幸福感に包まれたラストでした。夫婦生活はこれからも続いていく、ということをしっかり描いて終わってくれたのがよかった。さまざまな未来をシミュレートして、これからも予想のつかない困難がふたりを悩ませるだろうこと、それでも「この人となら」と思える人がいるなら、夫婦生活(夫婦じゃなくてもいい)は続いていくのだということを、しっかり描いてくれた最終話でした。

みくり曰く「好きの搾取」であった前回の平匡の失敗プロポーズは、確かに失敗であったけれど、それがふたりをとことん考えさせるきっかけになった。雇用主と従業員という立場を白紙に戻し、ふたりが「共同経営責任者」であるという考え方を提案した平匡。みくりは、商店街の「青空市」を手伝う仕事に加え、新たにタウン誌のライターの仕事も始めたため、平匡に家事の分担を提案する。ふたりの「経営責任者会議」は定期的に開かれ(まさかの『真田丸』パロディ!)、その都度本音で話し合う場が持たれたことは、一見さらに悪い方向に進んでいく火種のようでもありつつ、平匡が本当にみくりとともに人生を歩んでいこうと気持ちを固めるきっかけになった。余裕がなくなってひとり閉じこもるみくりに、「たいしたことじゃありません」とかけた平匡の言葉は、いつか、みくりが平匡にかけた言葉じゃなかったか。仕事の忙しさから家事がおろそかになって、自己嫌悪に陥るみくりに「青空市、楽しみにしています」と言えた平匡は最高にいい男だと思った。

百合と風見が、きちんと向き合えたのも本当によかった。百合が言った「私たちのまわりには、たくさんの呪いがあるの。そんな呪いからはさっさと逃げてしまいなさい」という言葉にぐっと来た人も多いはず。「女の年齢」という呪いの言葉をぶつけてきた、風見に恋する若い女性に対して発した言葉だったが、これまで自分の言葉こそが自分を縛っていたことを、百合はこの時悟ったんじゃないかと思う。

百合と風見だけではない。登場人物全員が、それぞれの生き方の中で「結婚」や「仕事」に向き合ったり逃げたりして、もがきながら歩んできたドラマだったから、最後にみんなが「青空市」に集まって、それぞれにハッピーエンドを迎えるシーンは、本気で泣けてきた。百合と風見の年の差カップル、沼田さんと梅原くんの同性カップル、シングルマザーになったやっさんや、もちろん幸せそうな日野さん夫婦(藤井隆とは実の夫婦である乙葉のサプライズ出演も!)にだって悩みや迷いは当然あるはずで、これからもそれぞれに「夫婦」とか「二人」とか「一人」という問題を超えていくのだ。

「逃げてしまう日があっても、深呼吸して別の道を探して、また戻って、いい日も悪い日も、いつだってまた火曜日から始めよう」

みくりと平匡が決めた火曜日のハグの日は、ふたりのスタートラインであり、視聴者にとってもまた、結婚や仕事、人生の本質を考えさせられる日でした。一話たりとも見逃せないドラマ、最高の社会派ラブコメディをありがとう!(杉浦美恵)
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