4月21日、プリンスが突然亡くなった日は、校了日前日で追悼記事を載せるのがせいいっぱいだった。
昨日発売された7月号で、ようやくロッキング・オンなりのプリンス追悼特集が作れたので、ぜひみなさんに見てほしい。
そもそもプリンスはインタヴューをしないことで有名で、本当に謎に包まれたアーティストだったが、特集ではプロモーション来日し、日本で初めて行われた貴重な対面インタヴューも再録している。
1996年、60分×3枚組の大作『イマンシペイション』をリリースした時で、レーベルも変わり、マイテと結婚し、転機を迎えた時期だからこそ実現した取材だったのだろう。
当時、RO編集部に在籍していたので、嬉しい驚きと同時に「本当にできるのだろうか?」とかなり緊張した。
インタヴュアーの高見展さんが取材を終えて会社に戻ってきたので、「どうでした?」と聞くと、いつものにこにこした笑顔を険しくひきつらせ、「話しかけないで! 誰も部屋に入らないで!」と叫びながら会議室に飛び込んでいった光景はいまだに忘れられない。
プリンスのインタヴューは録音NGで、自分の言葉をもとにインタヴュアーもクリエイティヴィティーを発揮して記事を作りなさい、という趣旨だったので、つまり一生懸命記憶したプリンスの言葉をワープロ(当時編集部はみんなこれで原稿を書いていた)で再生していたのだが、その真剣かつ異様なテンションは昔話の『鶴のおんがえし』のようだった。
その他にも、1999年、41歳の時のインタヴューや、編集長山崎によるペイズリー・パーク潜入記、プリンスの来日伝説や数々のエピソード、大鷹俊一氏によるヒストリーを追いながらの追悼記事など、全26ページの特集。
また、映画コラム『NO MOREポップコーン泥棒』でも、プリンスと映画の関係をテーマにしている。
『ワールドロックナウ』でもすでに特集されたが、改めて渋谷陽一が語りおろした「プリンス論」はまさに決定版で、プリンスのことを知らない人にも絶対に読んでほしい。(井上貴子)