映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見てから、頭の中でクイーンの曲が鳴りやまないと、ほとんどの人が口をそろえて言う。
初めてクイーンの音楽をちゃんと意識して聴いた、という若いリスナーも多い。そんな中には、まだバンドが続いていることを知らない人もいるのかもしれない。
今日でフレディ・マーキュリーが亡くなってから27年が経つ。
でも、クイーンは現役でライブをやり続けている。
2016年、フレディの生誕70年目に行われた武道館公演では、アダム・ランバートがボーカリストを見事につとめたが、フレディとジョン・ディーコン不在の喪失感はなく、まるで彼らがそこにいるような圧倒的な祝福感があった。
なぜそんな魔法のようなことが起きるのか?
それは、クイーンの曲が他のどのバンドも創造できなかったオリジナリティやエモーション、完成度を持っていることはもちろん、
その前身バンド=スマイルから一緒だった(そしてフレディをボーカリストとしてバンドに招き入れた)ブライアン・メイとロジャー・テイラーが、ものすごく健全にクイーンの楽曲と向き合い、バンドを自分たちの所有物ではなく世界中のファンのものとして開放しているからだろう。
映画でも描かれているように、クイーンはとにかく前しか向いていない。フレディがメンバーに病気を告げるシーンも、ライヴエイドのステージ出る直前のぞくぞくする興奮と緊張感も。
歌詞にもとてもよく表れている。“炎のロックンロール”も、“ドント・ストップ・ミー・ナウ”も、“ボヘミアン・ラプソディ”ですら「いいこともあれば 悪いこともある 僕にはたいしたことじゃない どっちにしても風は吹くのさ」と人生を受け止める。
曲を聴いていると、そしてまた映画が観たくなった。このループが止まらない。
まだの方は、上映しているうちに絶対に映画館で観てほしい。(井上貴子)
映画にも出てきた「最後にして最愛の恋人」ジム・ハットンが、フレディとの出会いから彼が亡くなるまでの7年間を愛情をもってつづった『フレディ・マーキュリーと私』6刷出来ました。
http://www.rockinon.co.jp/product/book/25793
「僕はベッドの横の小さなネジ巻き式の携帯時計を止めた。
そういう時計がずっと欲しかったとフレディが言ったので、僕があげた時計だった。
7時12分前。僕は二度とその時計の針を動かさなかった」――本文より
ロッキング・オンのクイーン号は、現在一時的に品切れ中でご迷惑をおかけしております。書店で見かけた方はお早めにどうぞ。
そして、次号12月1日発売のロッキング・オンでも、そんなクイーンの謎を解くきっかけになる貴重な記事を掲載します。
“ボヘミアン・ラプソディ”のライヴエイド・バージョンなど初作品化音源が入ったサントラもお聴き逃しなく!