キング・クリムゾンの来日公演初日を観た! 前回の2018年からさらに進化したとんでもないパフォーマンス、毎日観ても新たな感動が押し寄せること必至!!

キング・クリムゾンの来日公演初日を観た! 前回の2018年からさらに進化したとんでもないパフォーマンス、毎日観ても新たな感動が押し寄せること必至!! - pic by DAVID SINGLETONpic by DAVID SINGLETON

11月27日(土)、東京国際フォーラム ホールAでキング・クリムゾンの来日公演初日を観た。3年ぶりの来日だが、なんといってもコロナ禍によってずっと単独来日公演が途絶えていた中で、遂に、約1年9ヵ月ぶりに実現した記念すべき洋楽ライブだ。
入国後の隔離期間など、数々の制約を厭わず来日を実現してくれたロバート・フリップ以下、バンド全員とスタッフの方々には心から感謝したい。

もちろん観客席はびっしり。コロナ感染が収まってきた現状での開催となったのもラッキーである(観客の皆さん、誰もがしっかりマスクを着用しているし、会場の感染対策も主催者の配慮が行き届いて万全だった)。


そして肝心のライブだが、もう、ただただ唖然と言うしかない。
毎回、「ものすごいパフォーマンスだった! こんな音楽がありうるのか!?」とオーディエンスを唸らせてきた彼らだが、それが今回、さらにとんでもないものになっている。
まさに「上には上がある」ことを、思い知らされたのだ。

まず、セットリストを見てほしい。

キング・クリムゾンの来日公演初日を観た! 前回の2018年からさらに進化したとんでもないパフォーマンス、毎日観ても新たな感動が押し寄せること必至!!
ちなみにこのセトリ、フリップ先生が毎朝まとめるそうだが、ご覧の通り暗号化!?された曲名も多い(クリムゾン・ファンならおわかりだろうが)。
そこで、以下のように「翻訳」させていただいた。

【Set 1】
1. THE HELL HOUNDS OF KRIM
2. PICTURES OF A CITY
3. THE COURT OF THE CRIMSON KING (with CODA)
4. RED
5. ONE MORE RED NIGHTMARE
6. TONY'S CADENZA
7. NEUROTICA
8. INDISCIPLINE
9. ISLANDS

【Set 2】
10. DRUMZILLA
11. LARKS' TONGUES IN ASPIC, PART ONE
12. EPITAPH
13. RADICAL ACTION II
14. LEVEL FIVE
15. STARLESS

【Encore】
16. 21ST CENTURY SCHIZOID MAN

ご覧の通り、必殺ウェポンのトリプル・ドラムの洗礼に始まり、早くも3曲目で歴史的金字塔“クリムゾン・キングの宮殿”が投下されるハイ・テンション。続いて“レッド”~“再び赤い悪夢”というメタル・チューンの聖典が轟き渡り、さらにトニー・レヴィン(B)の即興ソロを挟んで80年代の代表曲“ニューロティカ”と“インディシプリン”が炸裂。

その興奮を鎮めるように、70年代初期の珠玉の名曲“アイランズ”が高雅な響きで奏でられ、【Set 1】が締め括られた。

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そして、休憩を挟んでの【Set 2】では、トリプル・ドラムの共演からシームレスに70年代インプロ黄金期の幕開けを告げた大曲“太陽と戦慄 パートⅠ”、そしてなんと、息も継がせず究極の名曲“エピタフ(墓碑銘)”へ突入したのだ!!
こんな超ゴージャスな大盤振る舞いがあって良いのか、という展開である。

しかも、クライマックスはここからだ。

総帥フリップが90年代から追求してきた「ヌーヴォ・メタル」の究極点である“ラディカル・アクションⅡ”から“レヴェル・ファイヴ”(=あの“太陽と戦慄 パートⅡ”の進化形!)で畳みかけた後、クリムゾン特有の抒情性と凶暴性がカオスになって溶け合う異次元のアンサンブル“スターレス”に突入。
もう、会場全体が歓喜の渦に包まれる。

こうなると、アンコールは“21世紀のスキッツォイド・マン”しかない。

もともとパンクなスピリットを宿す超速メタリックなキラー・チューンとして知られるが、これを“恐怖の七頭獣”(=フリップが名付けた最新型クリムゾンの呼称。もともとはアポカリプスに登場する「7つの頭を持った獣」のこと)は、原曲を恐るべきスケールに拡張し、フリップのディストーション・ギターとメル・コリンズのサックス、そしてトリプル・ドラムが狂おしく暴れ回る――

もしもキング・クリムゾンの2枚組ベスト・アルバムを作るとしたら、まさにこんな感じでは、という目が眩むようなセットリストである。
「もしかして、これは解散コンサートなのか!?」と思ってしまったほどだ。

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しかし、凄いのはセットリストだけではない。
フリップ以下、7人全員のプレイが素敵に狂っているというか、なりふり構わず突っ走る凄みがあって、悲壮感さえ漂うその暴走ぶりが感動的だ。

前回来日までの新生クリムゾン(2014年に誕生)は、ものすごい演奏力ではあったものの、いささか余裕たっぷりな雰囲気があって、ジェントルマンの集団のような佇まいだった。

それが今、円熟や品格といった紳士モードをかなぐり捨てて、あの神話的な「宮殿クリムゾン(1969年)」や「太陽と戦慄クリムゾン(1973~74年)」のようなファナティックな毒気を発散しまくっている。

フリップはもちろん、コリンズもレヴィンもギャヴィン・ハリソン(トリプル・ドラムのリーダー格)も、震え上がるほどのプレイを連発してくれるのだ。
彼らの年齢とキャリアを考えたら、これはまさに暴挙であり快挙だ。

アンコールの“~スキッツォイド・マン”の間奏部では、感激したオーディエンスが至るところで立ち上がり、会場全体を揺さぶるような拍手の嵐が巻き起こる。
コロナ禍のコンサートとしては、これ以上考えられないほどの盛り上がりである。

そして、
いつものようにレヴィンの合図で「フリー撮影タイム」がスタートすると、何千ものスマホやカメラからシャッター音が鳴り響くのだった。

キング・クリムゾンの来日公演初日を観た! 前回の2018年からさらに進化したとんでもないパフォーマンス、毎日観ても新たな感動が押し寄せること必至!! - pic by DAVID SINGLETONpic by DAVID SINGLETON

ここで、
公演初日直前に取材したジャッコ・ジャクスジク(Vo/G)のインタビューから、日本のファンに向けたメッセージをご紹介しよう。ZOOMでのやり取りとなったが、いつものように彼は、人懐っこい笑顔を浮かべながら語ってくれた。

「ぼくたちはアメリカでも、ポスト・パンデミックで最初にツアーしたイギリスのバンドなんだよ。だから、みんなが感じている解放感や楽観主義が集積した感覚が、ぼくたちに新たなパワーやエネルギーという形で影響したように思えてならないんだ。

レパートリーは、これまでよりもさらに増えている。セットリストは毎日ロバートが決めていて、日本ではアメリカよりも、もっと長いセットを演奏することになるはずだよ。アメリカでは、必ず前座があったからね。持ち時間が長くなった分、増えたレパートリーをもっともっと披露できるはずだと思う」


このメッセージからも感じてもらえるはずだが、「2015年とか18年とかの来日公演を観てるから、今回はもういいかな?」なんて思っている人は、底なしの後悔の沼に沈んでしまうかもしれない。

ロッキング・オン編集部ブログでは、
毎日セットリストをアップしていく予定なので、その変幻自在な内容をご覧いただければ、きっと気持ちが動くことだろう。

また、既に東京国際フォーラムなどへ行った人でも、12/7(火)・8(水)のBunkamuraオーチャードホールをはじめ、まだ空席が残っている日もあるそうなので、ぜひお薦めしたい。
https://www.creativeman.co.jp/artist/2021/01kingcrimson/

どうぞ、ご期待ください!!(茂木信介)



ロッキング・オン最新号(2021年12月号)のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。

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