これ以上考えられないラインナップで帰ってきたサマーソニックに続いて、今年はSONICMANIAも復活! 8月19日の夜に幕張メッセで開催予定だ。既に発表されている現状の出演アーティストを、ここでおさらいしておこう。
まず、今夏UKで『スクリーマデリカ』30周年記念ツアーを開催するプライマル・スクリームが、サマソニ東京の2日目のみならずソニマニでも同セットを披露する。新体制でツアーを行なってきたカサビアンと、映画も話題の兄弟船ポップサバイバー=スパークスは、東京ではソニマニのみの貴重なステージとなる。21世紀のエレクトロシーンを牽引してきたドイツのボーイズ・ノイズと、フランスのマデオンのライブはいずれも折り紙付き。さらにジャーマンテクノからはハードフロア先輩が門番のように控える。
我らが日本代表には電気グルーヴと、新人と呼ぶには物語が多過ぎるTHE SPELLBOUND。そして急逝から12年、盟友たちによるメモリアルなパフォーマンスとなるNujabes Eternal Soulがラインナップされている。
それぞれの表現スタイルも、世代も出身地も様々ではあるけれど、僕はこのラインナップに強い意味性を感じずにはいられない。80年代ニューウェイブから、90年代レイヴ、ポストヒップホップの時代、そしてEDMまで。はぐれ者たちの物語を継承しながら進化してきたダンスカルチャーは、周知のとおりパンデミックによって壊滅状態にあった。国内の音楽フェスが本格的に再生しようとしている2022年に、SONICMANIAはあらゆる世代/地域のダンスミュージックの担い手たちの力を借りて、止まってしまったダンスカルチャーの時間をも、再び動かそうとしているのである。
ソニマニという夜の時間には、この顔ぶれが必要だった。そんな必然性すら感じさせている。片翼を失いながら新たな道に踏み出したカサビアンや、何よりも「はぐれ者たちの物語」を体現し続けてきたスパークスの傷だらけのキャリアには、今だからこそ見届け、共有するべきものがあると思う。これで、夏の楽しみがまたひとつ増えた。しっかりと開催に備えよう。 (小池宏和)
SONICMANIAの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。