待ちに待ったザ・ストロークスの「年越し」最新ライブを観た! 『イズ・ディス・イット』から最新作『ザ・ニュー・アブノーマル』まで

待ちに待ったザ・ストロークスの「年越し」最新ライブを観た!  『イズ・ディス・イット』から最新作『ザ・ニュー・アブノーマル』まで - rockin'on 2022年6月号 中面rockin'on 2022年6月号 中面

「3、2、1、ハッピーニューイヤー!」。4月6日午後11時30分に、新年でもなければ、0時でもなかったけど、NYバークレイズ・センターでザ・ストロークスと2万人弱の観客が4ヶ月待った「年越し」を無事迎えることができた。オミクロン株の拡大で、年越しライブがこの日に延期されたのだ。

しかし、会場に入ると観客が口々に「ハッピーニューイヤー!」と言っていて、待った甲斐があるハッピーな空気でライブは行われた。驚いたのは、2万人弱の会場の上の席までビッチリ埋まっていたこと。ザ・ストロークスは実は2006年以降単独ツアーをほとんどやっていない。だからフェス出演時でもそうだが毎回彼らを一度は観てみたかった、という新世代の観客が大量に来るのだ。おかげで、去年で『イズ・ディス・イット』から20周年だが、彼らのライブは永遠に新たなエネルギーで満ちている。

この日のバンドもとりわけ大きくアレンジを変えることはないが、観客はこの曲こそ聴きたかった!と、曲ごとに大歓声で飛びまくっていた。新しかったのは、『ザ・ニュー・アブノーマル』の曲が多めに演奏されたこと。ライブは、“バッド・デシジョンズ” で始まったし、ドリーミーかつ彼ららしいビタースウィートなエモーションが際立つ“セルフレス”なども新鮮だった。しかし“レプティリア”では前奏のギターを観客が合唱しながら跳ねまくるし、“ニューヨーク・シティ・コップス”での盛り上がりも特別。唯一大きく変貌しているのは“レイザーブレイド”で、クンビアというコロンビアの伝統的ダンスのリズムにアレンジしエキゾチックに会場を盛り上げた。

ジュリアンはいつも通り、絶望的な世界に対してやぶれかぶれな発言をしていたが、珍しく“トライング・ユア・ラック”の後に、「この曲をやると、バーで誰も聴いてもくれなかった時のことを思い出す……泣きそうになる……わけないが(笑)」と正直に語っていた。これも地元NY効果だったと思う。

軽快なギターに、感傷的なメロディ、永遠に変わらないザ・ストロークスは、実は“ニュー・アブノーマル”な今の世界の「新年」パーティに相応しいサウンドを鳴らしてくれた。巨大フェスの出演もするため、演出はシンプルだが1曲ごとに変わり、スケール感があったのも新鮮だった。“テイク・イット・オア・リーヴ・イット”で盛大に締めくくられた。

唯一残念なのは、この多くの人の心を上げてくれるようなライブが、2020年に出演予定だったフジロックでは観られないこと。来年でも再来年でもいいので、日本でもこの「新年」のパーティを開催して欲しい。 (中村明美)



ザ・ストロークスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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