2022年、新たな都市型フェスとして初開催がアナウンスされた『TONAL TOKYO』。東京、有明アリーナを舞台に、10月29日に開催予定だ。「未来のクラシック・スタンダード」をテーマに掲げるこのフェスは、その一風変わった切り口によって、既存のロックフェスやダンスフェスとは異なった特色を打ち出そうとしている。
出演ラインナップは、今春に5作目のアルバム『クラッシュ』を発表しワールドツアーを繰り広げている最中のチャーリーXCXをヘッドライナーに据えているほか、ジェイミーxxやイヤーズ&イヤーズといった海外勢、そして国内アーティストら強力な顔ぶれがズラリと揃っている。フェスや単独公演で海外アーティストたちの来日公演が相次ぐ中にあっても、極めて華やかでハイクオリティなステージが期待できる素晴らしいラインナップである。
前作『ハウ・アイム・フィーリング・ナウ』でファンと緊密な関係を築き上げながらステイホーム期間を乗り越えてきたチャーリーXCXは、新作『クラッシュ』とそのツアーによって、キャリア中最も豊かな歌心の季節を迎えている。もちろん、セクシーにしてダイナミックなパフォーマンスは不変だろう。
ジェイミーxxは恐らくライブ感豊かなDJセットになるはずだが、ソウルフルなクワイアのリフレインが印象的な久々の新曲“Let’s Do It Again”はUKアシッドハウス~セカンド・サマー・オブ・ラブを思い出させる珠玉のトラック。『TONAL TOKYO』に恍惚のひとときをもたらすことは間違いない。
それぞれに独創的な表現スタイルをもってポップミュージックシーン最前線をひた走るアーティストたちを迎え、繰り広げられる『TONAL TOKYO』。ただポップであるばかりではなく、そこに「未来のクラシック・スタンダード」という批評的な切り口を持ち込むことで、ポップミュージック史に大きな節目と意味がもたらされることになるだろう。現行シーンを力強く駆動させようとする主催/運営の発想の豊かさに快哉を叫びつつ、開催を心待ちにしたいところだ。 (小池宏和)
『TONAL TOKYO』の記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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