やっとこさ落ち着いてクラクソンズの新作『Surfing The Void』を聴くことができた。
一度アルバムが完成したもののレーベルからの許可が降りなかったり、その後ガラッと趣向を変えて、ロス・ロビンソン(At The Drive-In、Slipknot、Korn)をプロデューサーに迎えたりと、試行錯誤が伝えられてきたクラクソンズの新作。
実際、ウェブで公開されたファースト・シングル“Echoes”のざらざらとした音の感触は、そうした前評判から想像できるものだったわけだけれど、いざ全10曲を通して聴いて思ったのは、これもやっぱりクラクソンズだということ。
シュー・ゲイザーだったり、クラウト・ロック的な要素だったり、ポスト・ロックだったり、こと音楽性に関して言えば、まったく前作とは違うのだけれど、あのフックの強いメロディはどの曲にも健在。
クラクソンズはニュー・レイヴだったのでもなければ、もちろんニュー・メタルになるわけもない。そう断言するための心の叫びのようなアルバムになっている。非常にリスクを負ったアルバムだし、とやかく言われやすい作品だとも思うが、こういうアルバムを作らざるを得なかった、というのが実に誠実なクラクソンズらしい部分だったりする。
9/8の東京一夜限りの渋谷クラブクアトロ公演も、瞬く間にソールド・アウト。
まだ書くことができないのだけど、ビッグ・ネームによる更に挑戦的な作品も届き始めている。
ロック・シーンが確実に変わりつつある。(古川)