キング・クリムゾンのジャパン・ツアー初日を観た! 「今」のクリムゾンが魅せる圧倒的なパフォーマンスが、前回の来日の衝撃と謎を解き明かす

キング・クリムゾンのジャパン・ツアー初日を観た! 「今」のクリムゾンが魅せる圧倒的なパフォーマンスが、前回の来日の衝撃と謎を解き明かす

2014年からほぼ現在のラインナップで活動を再開しているキング・クリムゾン。この最新バージョンでは二度目の来日公演となるが、前回2015年の来日時は70年代以前のキング・クリムゾンの名曲をぞろぞろと披露してくれたことがあまりにも衝撃的で、自分でもよく整理がつかないままに現在に至っている、と言えるかもしれない。

はっきり言って、絶対に聴けないはずだと思っていた名曲の数々を、ライブ作品などを経由してではなく実際の会場で生のライブとして聴けてしまった、という事態は予想以上に自分に混乱をもたらしたのかもしれなかったのだ。

もちろん、それはあまりにも感動的だった。そして、本来的にはその感動だけがあればいいはずだし、"Starless"も"Epitaph"もついにライブで聴けたのだからこれ以上なにも望みようもない内容だった。ただ、なぜこのバンドがこうなったのか、ということが楽曲との生の出会いの感動の中で流されて、正直よくわからなくなってしまっていた。

キング・クリムゾンのジャパン・ツアー初日を観た! 「今」のクリムゾンが魅せる圧倒的なパフォーマンスが、前回の来日の衝撃と謎を解き明かす

それを完全に解き明かしてくれるのが今回のライブで、本当に今のキング・クリムゾンがすごいことになっているのだと徹頭徹尾わからせてくれる公演だった。

今回の来日前に実現したインタビューで、トニー・レヴィンは、今の体制ではレコーディングに長い時間をかけることは一切なく、ライブにレコーディングとほぼ同じ状態の真剣勝負で臨んでいるからどこまでも充実していると語っている。まさにそういうことだった、とわからせてくれるのが今回の公演の素晴らしさでもあった。

その象徴的な演奏となったのが、序盤で披露された"Discipline"と"Indiscipline"。81年以降のキング・クリムゾンのサウンドを体現する楽曲だが、たとえば"Discipline"については、少しずつ姿を変えていく循環的なリフの展開によってダイナミズムがおのずから生み出されていくその異様な様相が、今回のドラム・トリオによる圧倒的な演奏によって初めて現実となったといってもいい。もちろん、オリジナルのアルバムでもそれは試みられていたはずだが、今回初めてそれを実感として受け取ることができたので、とても感銘を受けた。

キング・クリムゾンのジャパン・ツアー初日を観た! 「今」のクリムゾンが魅せる圧倒的なパフォーマンスが、前回の来日の衝撃と謎を解き明かす

また、『リザード』の楽曲群と最も新しい"Radical Action"を中心とする楽曲群が同じセットで混在していてもまったく違和感がなく、むしろ最終的にはどちらの楽曲群も"Lark’s Tongue in Aspic"へと通じる、美しさへの憧憬と破壊的な衝動の混在というアプローチとテーマを内在していたことを明らかにしていくところがすごかった。旧楽曲群の復活は必然だったのだ。(高見展)

キング・クリムゾンのジャパン・ツアー初日を観た! 「今」のクリムゾンが魅せる圧倒的なパフォーマンスが、前回の来日の衝撃と謎を解き明かす

<SET LIST>
1st Half

Drumsons Go East
Neurotica
Suitable
--------------------
Discipline
Indiscipline
--------------------
[Lizard Suite:]
Cirkus
Bolero
Dawn Song
Last Skirmish
Prince Rupert's Lament
--------------------
Islands
--------------------
[Radical Suite:]
Radical 1 + Intro On C
Meltdown
Radical 2
LTIA 5

2nd Half

Drumsons Reorient
Fallen Angel
Red
--------------------
[Court Suite:]
Moonchild
Cadenzas
ITCOTCK + Coda
--------------------
Easy Money
LTIA 2
--------------------
[encore]
Starless

※11月30日にセットリストを追加しました。
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