さらなる進化を遂げたキング・クリムゾン、降臨 ―― プログレもロックも超越した至高の音楽に溺れる! コロナ禍後、初の洋楽単独公演 徹底レポート!

さらなる進化を遂げたキング・クリムゾン、降臨 ―― プログレもロックも超越した至高の音楽に溺れる! コロナ禍後、初の洋楽単独公演 徹底レポート! - rockin'on 2022年1月号 中面rockin'on 2022年1月号 中面

文 = 茂木信介

日本ではコロナ禍がいったん収束状況にあるこの時期、とうとう約1年9ヵ月ぶりとなる単独来日公演が実現した。入国後の長い隔離期間などさまざまな制約を厭わず来日してくれたキング・クリムゾンが、いよいよここ東京国際フォーラム ホールAに降臨したのだ。

《MUSIC IS OUR FRIEND》というツアー・タイトルはあまりにシンプルな単語配列だが、そこには、もはやプログレでもロックでもなく「音楽」そのものとしか言いようのない深さと広さに到達したクリムゾンが、若い世代を含む多くの人々にとって「唯一無二の友」となる、というマニフェストが込められているに違いない。そしてこの日のオーディエンスは、至高の音楽がもたらす狂熱と愉悦の巨大渦巻に、ただひたすら溺れることになった。

ライブは、例によって一気にトリプル・ドラムが爆裂する怒涛のアンサンブル“ザ・ヘル・ハウンズ・オブ・クリム”で幕を開けた。ロバート・フリップが標榜する“恐怖の七頭獣フェーズⅡ(The Seven-Headed Beast Of Terror II)”が奏でる壮麗なファンファーレだ。これが来ることはわかっているのだが、それでも鳥肌が立つ。

息継ぐ間もなく雪崩れ込んだのは、なんと初期クリムゾンのレア楽曲“冷たい街の情景”だ。オープナーから激走するトリプル・ドラムの強烈なグルーヴがこの曲にも宿り、中間部では凄まじいフリー・ジャムに突入。メル・コリンズのサックスが咆哮し、フリップの伝家の宝刀=ディストーション・ギターが斬り込む。原曲のポテンシャルが何倍にも増幅されたスリルがたまらない。

そして、興奮が高まる中での“クリムゾン・キングの宮殿”! えっ、まだ3曲目だぞと驚く一方で、全身が震え上がる歓びは抑えようもない。ギャヴィン・ハリソンのドラムが疾走し、フリップのメロトロン(シンセ音響)が轟くや、深紅の王が絶対支配するサウンドスケープへ引きずり込まれていく。ジャッコ・ジャクスジクのボーカルは、何やらただならぬ覚悟を内に秘めたような趣で、深紅の王の妖しい祝祭を歌い上げる。

そしてコーダでは、フルートとメロトロンがフリーキーに鳴り響き、クリムゾン特有の「黒いウイット」が炸裂する。ここでフリップは、原曲に登場する道化師よろしく、キーボードを狂ったように掻き鳴らしたのだ! ステージでこれほどぶっ飛んだパフォーマンスをする彼の姿は観たことがなく、狂気の匂いがじわじわと会場に充満していくようだ。(以下、本誌記事に続く)



キング・クリムゾンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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